昌子は周囲と綿密に連係し、無失点勝利に貢献した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップ出場を決めたオーストラリア戦。2-0というスコアは、完勝のイメージを与えたかもしれないが、試合内容はそうとも言い切れない。日本にとっても危うい時間帯はあった。
 
 前半はお互いにチャンスに乏しい展開。どちらが先にボロを出すか。41分、隙を見せたのはオーストラリアだった。長友佑都のクロスから、フリーになった浅野拓磨がワンチャンスを確実にゴールへ流し込む。そして1-0でリードした後も、日本は足を止めず、後半もハイプレスをやり続けたことが良かった。そのおかげで、オーストラリアに圧倒的に押し込まれる展開にはならなかった。
 
 しかし、やや雲行きが怪しくなったのが、後半の中頃だ。61分にトミ・ユリッチ、70分にティム・ケイヒルが投入されてから、82分に井手口陽介の追加点が決まるまで。この時間帯において、オーストラリアの攻撃は怖さを備えていた。
 
 この時間帯にディフェンス陣が最後の防波堤となって粘り、乗り切ったのは大きい。センターバックの昌子源は何を感じながらプレーしていたのだろうか。
 
「(吉田)麻也くんとは試合中もずっとしゃべっていました。もちろん、(長友)佑都くんやハセ(長谷部誠)さんとも。決定的なピンチがそれほど無かったのは、その前段階で声をかけて解決できたから、なのかなと思います」
 
 こちらが「追加点が決まる前の時間帯、昌子選手と長友選手の間に飛び出されるシーンが多かった。どんなことを感じていた?」と尋ねると――。
 
「右サイド、7番の選手(マシュー・レッキー)がかなり縦、縦に来て、それを僕自身も感じていました。僕がカバーリングの対応を、もう少しスピーディにできていたら、ピンチは生まれなかったと思います。そういうのもひとつの良い……、まあ勝ったから言えるんですけどね。良い経験って言えるけど、本当にやられてもおかしくなかった。あれも言うたら、声や連係の解決で済むと思うので、これからに向けて、もっと密にやっていく必要があると感じました」

 なぜ、こうした問題が生じたのか。原因はオーストラリアの交代にある。
「(FWに対する注意から、カバーが遅れ気味になったか?)そうですね。後半にユリッチ選手が出てきて、かなり僕らもクロスへの警戒が強くなり、なかなか僕や麻也くんがサイドに出られなくなって、中を固める感じになった。そこも、もっと臨機応変に対応できたらなと思います」
 
 ユリッチやケイヒルをフリーに出来ないという警戒心が、昌子をマンツーマンで深追いさせる。その結果、最終ラインで、特にサイドバックとの間にスペースが空きやすくなり、そこをオーストラリアが巧みに突いてきた。前半もサイドからクロスを入れられることはあったが、後半はより内側、ペナルティエリアをえぐられるようになり、脅威のレベルは段違いだった。
 
 試合後の記者会見で、アンジェ・ポステコグルー監督はパワープレーをしなかった理由について、「我々の哲学の中でソリューションを見出したいので、それを追究しました。後半に良いチャンスはたくさんありましたが、我々有利に転がってくれなかった」と語っている。
 
 ユリッチとケイヒルを入れたのは、単なる放り込みではなく、日本の最終ラインにスペースを空け、ペナルティエリアに侵入するため。これが現在のオーストラリアのやり方だった。

「オーストラリアも最後まで自分たちのサッカーを貫いてきました。うちが勝っているにもかかわらず、ゴールキックを、ユリッチみたいなでかい選手に蹴らない。最後まで貫く姿勢は、すごくかっこよかったし、それは僕らもリスペクトするべき。でも、それでうちが前から行けた部分もあったので、少し僕ら有利に働いた戦術だったとも思います」