「もしも急病だったら…」そんな時に押さえておきたいこと

写真拡大


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


「突然、具合が悪くなってしまったらどうしよう」と、不安に思ってしまうことはありますか?

お出かけ先や電車の中など、自宅や職場以外での場所にいる時は、なおさら心配になるかもしれませんよね。

病気の中には、早期に治療しないと命に関わる重大なものもあります。

すぐに対処できるよう、気をつけたい病気をみていきましょう。

急病ってどんな病気?

「急病」とは急に起こる病気のことで、医学的な分類はありません。急に発症すれば、軽い風邪から命に関わる重い病気まで急病といえます。

では、救急搬送される人の多くはどんな病気で運ばれているのでしょうか?

平成26年の救急搬送された人を病気の重症度別にみると、「脳疾患(25.4%)」、「心疾患等(21.1%)」が多いという結果になりました。さらに、死亡した件数は、「心疾患等(38.4%)」が圧倒的に多く、「呼吸器系(4.8%)」、「脳疾患(3.2%)」と続きました(『平成26年 総務省消防庁 救急自動車による救急活動状況』より https://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h26/h26/pdf/part2_section5.pdf
)。

この結果からもわかるように、重症なことが多く、死亡例もみられるのは、頭や心臓の病気です。

それでは、気をつけるべき病気を取り上げ、原因や対処法をご説明いたします。

頭に起きる急病、脳疾患で気をつける病気って?

頭に突然起こる気をつけなければならない病気に「脳卒中」があげられます。脳の血管に起こる疾患でもあるため、脳血管疾患ともいいます。

「脳卒中」は1つの病気を指すコトバではなく、以下の総称です。


・脳内血管が破れる「脳内出血」

・脳を覆う軟膜とその上にあるくも膜の間で出血する「くも膜下出血」

・血管が詰まる「脳梗塞」

脳卒中が気をつけなければならない理由として、日本人の死因4位と私たちの身の回りでも多く起こりうること、命に関わる疾患であること、命はとりとめても重い後遺症が残り、生活に支障をきたす可能性があることが挙げられます。

脳卒中は急に起こる病気ですが、前兆がまったくないわけではありません。もし、次のような症状が見られる場合には、速やかに病院を受診するようにしましょう。


・顔の半分が動きにくい、しびれがある

・口や顔の片方がゆがむ

・呂律がまわりにくい、うまく話せない

・視野がかけている、ものが突然二重に見える

・突然、片方の腕や足に力が入らなくなる

・左右で皮膚の温度や感触などの感覚が異なる

脳卒中の発症には、動脈硬化や高血圧、脂質異常、糖尿病、狭心症、不整脈などが大きく関わっています。さらに、喫煙、飲酒、肥満、ストレスが脳卒中になるリスクを高めるといわれています。


言い換えれば、脳卒中はこれら危険因子を減らすことで、発症のリスクを減らすことができる病気なのです。

心臓に起こる急病で気をつける病気って?

心臓の病気による死亡率は、「がん」に次いで第2位です。また、救急搬送による死亡症例が多いことからもわかるように、「ある日、突然亡くなってしまう」ことが少なくありません。

症状がみられて24時間以内に死亡する「突然死」の半数以上は、心臓の病気によるものです。

心臓に関する突然死の原因で最も多いのは、急性の「心筋梗塞」です。発症時、胸痛発作などがみられた場合、すぐに治療がなされるかが生死に関わってきます。

心肺停止になると、心肺蘇生が1分遅れるごとに社会復帰できる可能性が10%も低下するといわれているほど、早期の治療や対応が大切になります。

心筋梗塞の原因となるのは、高血圧、脂質異常、喫煙、高血糖などです。

また、内臓脂肪の蓄積に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせ持っていると(メタボリックシンドローム)、それぞれが軽症でも動脈硬化を悪化させ、心筋梗塞など心血管疾患の発症リスクが高まることもわかっています。

心筋梗塞が生活習慣と関係していることから、心臓の急病も、脳卒中と同じように防ぐことができるといえるのです。

もしも急な病気、急な症状がみられたら?

突然倒れたり、具合が悪くなったりすると、ひどく慌ててしまうものです。緊急な場合はもちろん救急車を呼ぶ必要がありますが、突然の出来事に救急車が必要かどうか、どの病院を受診すればよいか、混乱してしまうこともあるでしょう。

近年、救急車の適正利用が呼びかけられている中、電話やインターネットによる緊急時の相談窓口を設けている地方自治体もあります(詳しくはこちらから⇒『東京消防庁 救急相談センター』 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.htm)

突然の事態に備えて、あらかじめ相談窓口を把握しておくようにしましょう。

また、緊急を要しない症状の場合でも、「そのままにしておいて大丈夫」と放置せずに、医療機関を受診するようにしましょう。普段から相談ができるかかりつけの医師をもつようにしておくと、安心ですね。

日ごろからの予防や治療が急病のリスクを減らす

今回紹介したように、脳や心臓の急病の中には生活習慣などが原因となって起こる病気があります。いざというときの対処法を知っている以上に、ふだんから病気の予防に努めることも大事なことです。

持病がある方は持病の治療が何よりも大切です。体調の変化や不調は放置せずに、受診するようにしましょう。

また、健康な人でも定期的な健康診断や人間ドックを受診することで、病気の早期発見や予防につなげることができます。

いざというときに備えましょう。

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供