テオ・ヤンセンが近年生み出した、キャタピラ型のビースト「アニマリス・ブルハス・セグンダス」。「ブルハス」とは芋虫を意味する。

■オランダの鬼才が生み出した、風力で動く立体作品

風力をエネルギーにして動く巨大な人工生命体「ストランドビースト」。まるで動物や昆虫のような動きを見せる作品は、プラスチックチューブなどの廃材を組み合わせてつくられているのが信じられないほど、躍動感に溢れ、観る者の心を惹きつけてやみません。

この不思議な動く作品群を次々と生み出しているのが、オランダの芸術家テオ・ヤンセンです。

テオ・ヤンセン(1948年〜)。オランダ・スヘフェニンゲン出身。アートと自然科学が融合したさまざまな作品を制作し、注目を集める。

ヤンセンは、デルフト工科大学で物理学を学び、一度は画家として身を立てました。しかし、徐々に「生物の進化」についての関心が強くなり、90年代以降は「ストランドビースト(砂の生物)」と名付けた立体作品を30年近くに渡って発表するようになり、現在も創作活動に取り組んでいます。

その奇妙で魅力的な動きの作品たちを、ぜひ動画でご覧ください。(「テオ・ヤンセン展覧会 in 沖縄2017」公式ムービーより)

彼がこのような作品を生み出すことになった動機は、故郷オランダの海水の水位上昇や、自然エネルギー問題。風力で創造する芸術を通じて、「自然との共生」や「自然エネルギーの偉大さ」を伝えたいという、強い思いがあるといいます。

■首里城など沖縄の風景と共にビーストを展示

こうしたビースト作品の数々を実際に観ることのできる展覧会「テオ・ヤンセン展覧会 in 沖縄 2017」が、10月3日(火)〜11月11日(土)まで、沖縄県立博物館・美術館(那覇市)で開催されます。

今回の展覧会は、那覇市で飲食店を営む戌亥近江さんの働きかけで結成された「テオ・ヤンセン沖縄展覧会実行委員会」の招聘により実現した企画。このような世界的なアーティストの展覧会が、個人の発案で実現することは非常に希なことです。

実行委員長の戌亥さんは、企画理由について次のように話します。

「自然を愛するテオ氏が創造した『ストランドビースト』が沖縄の美しい海に立ち、砂浜を歩く姿を観てみたいと思ったのです。訪れてくださったみなさんにとって、この展覧会が自然や科学への興味を持つきっかけになることを願っています」

沖縄初開催となるこの展覧会では、最新作を含むストランドビースト13点がやってきます。館内ではビーストの背景に、ビーチや世界遺産・首里城など沖縄の風景を映し、美しい島の風を感じられる演出もおこなわれます。構想時のラフスケッチや、動きの秘密がわかる模型など、約50点も展示される予定です。

脚の肩(接合部)に筋肉と同じ働きを持たせた、「アニマリス・ユメラス」。「ユメラス」はラテン語で肩の意味。(C)MediaForce

2頭のビーストを並べて接合した構造の「アニマリス・シアメシス」。それぞれの羽を共通のクランク軸でつなげている。総重量は200kg、脚の数は72 脚におよぶ。(C)MediaForce

沖縄の風景と共に、自然を愛するヤンセンが創造したビースト作品を楽しめる、貴重な展覧会です。この秋、沖縄旅行にお出かけの際は、ぜひ沖縄県立博物館・美術館を訪ねてみてください。

【展覧会情報】
「テオ・ヤンセン展覧会 in 沖縄2017」
■会期:2017年10月3日(火)〜11月11日(土)
■会場:沖縄県立博物館・美術館(那覇市)
http://www.museums.pref.okinawa.jp/
■住所:沖縄県那覇市おもろまち3丁目1番1号
■電話番号:098-941-8200
■開館時間:火曜から木曜、日曜は9時から18時まで(入館は17時30分まで)、金曜・土曜は20時(入館は19:30まで)
■休館日:毎週月曜(祝日、振替休日の場合は、翌平日)

※「テオ・ヤンセン展覧会in 沖縄2017」のサイトはこちら
https://theojansenokinawa.com/

取材・文/大沼聡子