ブルゾンちえみの魅力はギャップ感

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 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、『24時間テレビ』での激走ぶりが賞賛を浴びるブルゾンちえみに注目。

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 当日まで走者が発表されなかった今年の日本テレビ系『24時間テレビ40 告白〜勇気を出して伝えよう〜』のチャリティーマラソン。ランナーに指名されたのは、キャリアウーマンネタでブレイクしたお笑いタレントのブルゾンちえみ。

 無事に90キロを完走したブルゾンさんだが、指名を告げられた時は、白い歯を見せ大声を上げて喜びながらも戸惑いはあったようだ。マイクを向けられると「選ばれて…光栄です」と言葉と言葉の間に微妙な間が開く。選ばれてよかったという思いは強かったのだろうが、いざ、走るとなると90キロはさすがに長い。

 だが、実際の走りを見ると、ネタでの緩いダンスと違い足取りは軽い。けっこう走れるんだと思ったら、中学・高校時代は陸上部で長距離走は得意だったというから意外だ。キャップを浅目にかぶって顔を上げたまま、身体が揺れず安定した走りを見せる。だが、疲労がたまってくると歩きだすことも度々。

 歩き始めるとうつむき加減が多くなり、キャップもこころもち目深になる。それでも手を握り締め、大きく両手を振って、必死に足を前に出す。最後の上り坂では、帽子をかぶり直してゴールの方へ顔を上げた。「あともう少し」「最後に気を引き締めて」、そんな気持ちの表れだろうか。真面目さと真剣さが伝わり、イメージとは違う彼女の一面が印象に残る。

 ゴールでは感きわまって涙ぐんだが、それでも独特のアイメイクがにじむことはなかった。走っている最中から、化粧直しなしなのに、メイクが崩れていないことに話題が集中していた彼女。

 眉は太めの平行眉。パッと見では、眉頭が太いので下がっているようにも見える。平行眉は明るさや幼さ、下がり眉は頼りなさや自信のなさ、不安を印象づけるといわれる。しかし、彼女の眉は太いだけでなく、眉頭が目頭よりも内側に書かれているため、強気で我が強い印象も与える。強気だけど、芯はもろい。我は強いけど本当は自信がない。そんな矛盾が見え隠れする眉が彼女の魅力。

 目をくっきりと黒いラインで囲んだアイメイクは、画面を通すと、彼女の目を大きく見せるというより、細長く、半ば閉じているように見せている。細めた目は相手を見下し、傲慢さを感じさせやすい。だが半ば閉じているように見せることで、ちょっとミステリアスな雰囲気をそこにプラスしている。

 強気なメイクに、パッツンと切りそろえられた自己主張の強い黒髪のボブスタイル。ブスなのか可愛いのか、イマイチ判断がつかない容姿に、コロコロした体型。ネタでは、バブルの時に流行したようなピチピチタイトのミニスカートで、緩いステップを踏む。キャリアウーマンという響きからくるイメージとは正反対で、ギャップが大きい。一昔前のいい女ぶってる勘違い女にしか見えず、この女がそれを言うか?という感じが笑いを誘う。

 また、彼女のネタには、振り向くシーンが効果的に使われている。見ている人はブルゾンさんが後ろを向くことで、次に何が起こるのか、どんな笑いがくるのかを無意識に期待して、目を離せなくなる。そこで彼女は、後ろを向くだけでなく、数歩、歩いて間をあける。見ているこちらは、注目したままワクワク感が盛り上げる。

 そして、おもむろに振り向く。振り返ることで、表情が強調され、前を向き続けてネタを披露するより、見ている人により大きなインパクトを与えることができる。笑いのツボやタイミングもわかりやすくなり、ネタのキレや面白さが倍増する。切れ長のアイメイクも、振り向きざまの流し目を強調して、見ている人の関心をさらに引き付ける。

 ネタと動きを併せてみると、腰に手を当てて肘を張り、自分が上だと見せつける。横に立つwith Bの2人との絡みでは、「主導権は私にある」という女王様キャラのような動きや仕草を見せる。でも「男はチューインガム」、世界に男は「35億」と言いながらも、その仕草はセリフとは裏腹。自分を魅力的に見せようと必死な感じなのだ。

 小首を傾げて可愛く見せたり、頭を振って髪をなびかせ、髪を何度もかきあげる。媚びたようにしなを作ったと思ったら、腰を振って歩いたりと、「待っていれば男は来るもの」と言いながら、その仕草は実に思わせぶり。ゆっくり腰や身体を動かすことでセクシーさを表現し、自分で首筋やウェストを触っては女っぷりをアピール。だけど、内またに立ったり、足を投げ出すように歩いたりと足先にまで気が回らずに、頑張ってる感が漂ってしまう。

「自然と男は寄ってくる」というスタンスと、彼女のボディランゲージが表している誘惑したい、もてたい願望とのギャップが際立ち、面白い。彼女がウケる理由の1つはギャップの面白さだろう。最初に持ったイメージや印象とのギャップが大きいと、それだけ相手により大きなインパクトを与え、印象を変えることができるといわれる。心理学ではこれをゲイン・ロス効果(アロンソンとリンダー)という。

 普通に話す時はすごく真面目で知的だし、雑誌の企画では見事な着こなしを披露している。ドラマでは女子力を高めようと頑張る理系女子を熱演したりと、今までとは違う姿を見せる彼女には、ゲイン・ロス効果が高い

 CMにドラマにと、芸の幅を広げているブルゾンさん。次はどんなギャップを見せてくれるのか、楽しみだ。