弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は、中島杏奈さん(仮名・32歳・メーカー勤務)。

「母親が病気になり、介護時短を取得したら、手取りの月給が12万円になってしまいました。そこで、副業を始めることにしたのです。ウチの会社は社員の副業は厳禁で、SNSについても総務がパトロールしているくらいの前時代的な会社なんです。だから、絶対にバレるわけにはいかないのです。

私が副業で行なったのは、比較的割合がいいと感じた、美容口コミをひたすら書くという仕事です。ネットから応募して、スタートすることにしました。すぐに描いてくださいと言うので、何本か書いたのですが、支払日になってもお金が支払われず……。

スタート月は本数も少なく、あまりにも少額なので、翌月にまとめて振り込まれるのかなと思っていて、さらに作業を進めていたのですが、今月も支払日にお金が私の口座に入っていませんでした。これは支払う気がないのだと感じて、相手の会社に連絡したところ、電話は出るのですが、担当者が退社したと言われてしまいました。何度電話しても同じ回答になり、メールは完全に無視をされています。全部の金額は3万円程度なのですが、これはどのように回収したらいいのでしょうか。

金額的にも少ないので、弁護士を立てるのもどうかと思っていますが、このままでは気持ちのおさまりがつきません」

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このケースでは、契約書や支払に関する事項も書かれた念書等があるかどうかが問題になります。

契約に関する書面がない場合は、契約内容や条件等の表示されたものや、それについてのメールのやりとりがあるかを確認してください。

電話も無視されている状況とのことなので、内容証明郵便で督促するということも考えられますが、内容証明郵便は郵便の一種なので、直ちに回収できるというウルトラCができるかというとそうではないケースの方が多いです。

契約した証拠等があれば、少額訴訟をするということも考えられるが、本件は非常に少額なので、費用と労力をかけた割には、得られるメリットが少ないかと思います。

ちなみに、少額訴訟とは、簡易裁判所で行なわれます。60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限られており、原則1回の審理で、双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりして、直ちに判決が言い渡されます。

まずは、内容証明郵便での督促を経て、支払が得られた場合でも、今後の契約は止めた方がいいのではないでしょうか。

副業トラブルは急増中。着手前に覚書を交わすなど書面やメールで契約を結んでおくことがトラブル予防につながる。



■賢人のまとめ
費用と労力はかかりますが、簡易裁判所で行なわれる「少額訴訟」という方法もあります。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/