【原ゆみこのマドリッド】どちらが強いのだろう…

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▽「意外と弱気なものね」そんな風に私がいぶかっていたのは金曜日、サンティアゴ・ベルナベウのプレスコンファレンスルームでベントゥーラ監督が着くのを待っている間、イタリアから来たラジオ記者が「ウチは11月まで大変だ」と愚痴っているのを聞いた時のことでした。いやあ、木曜にW杯進出を決めた日本と違い、スペインのいるヨーロッパ予選グループGは首位の彼らと2位のイタリアが同勝ち点で並走。得失点差4で順位が決まっているため、今回の対戦でどんな結果が出ても10月まで勝負は続くんですけどね。「イタリア人はリアリストなんだ。2位になる自信ならあるよ」という彼は更にその先、プレーオフまで戦うことを覚悟していたから。

▽まあ、昨年の両者は直接対決もトリノで1-1と引き分けていますし、実際、圧倒的にロペテギ監督率いるチームが優勢という訳じゃないんですけどね。ちなみに月曜の夜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合したスペイン代表は翌日からトレーニングを開始。そこで結局、正確な開始時間はわからなかったものの、8月中はモンクロア(マドリッド市内にあるバスステーション)からの便が少なくなることもあり、午前11時ぐらいには着けるかなあという感じで私も向かうことに。運良く、それがドンピシャだったのはラッキーだったんですが、アップが終わった時点で取材陣全員にプレスルーム行きの命令が出るなんて、やられたとしか言いようがない?

▽そこでようやく顔なじみの代表番記者にスケジュール表を見せてもらい、わかったのは今回の合宿では水曜午前のセッションと前日のサンティアゴ・ベルナベウでの練習以外、一般公開はなし。マスコミでも昨今のレアル・マドリーやアトレティコ同様、午前中は開始から15分間しか見られない上、午後は完全非公開、しかも施設外の丘から丸見えのグラウンドをなるたけ隠すため、ネットにシートをかける作業まで始めている念の入りよう。ええ、これってもう、マドリッドで気楽に最初から最後まで練習見学できるチームは弟分のレガネスとヘタフェしかないってことじゃないですか。

▽おかげで翌日、私が1本遅めのバスで施設に着いた時にはもう、唯一の公開日を狙って駆けつけたファンたちでスタンドに席がない程の混雑状態。何せ、世間はまだ夏休みですからね。私も人垣の間から、選手たちがグラウンド半分で11人対11人のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)に興じるのを覗き見るしかなかったんですが、組分けの方はまだロペテギ監督も試している段階だったのか、例えば前線など、片やビジャ(ニューヨーク・シティ)とデウロフェウ(バルサ)、アセンシオ(マドリー)が並んでいるかと思えば、もう一方はモラタ(チェルシー)、ペドロ(同)、シルバ(マンチェスター・シテイ)のプレミア勢の3人。

▽今回は総勢26人呼んでいるため、途中から負傷離脱したビトロ(ラス・パルマス)の代わりに追加招集されたルーカス・バスケス(マドリー)、イアゴ・アスパス(セルタ)、A代表初体験のスソ(ミラン)が入り、アセンシオ、デウロフェウ、ペドロが抜け、最後はまたピッチに戻ったアセンシオのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/CFの位置に入る仮のMF)なんてパターンもありましたが…うーん、ちょっと心配だったのは前日、グループリーグで敗退した2014年のW杯ブラジル大会以来となった、35歳での再招集を受けたビジャなど、「リストにいる選手の質の高さにはビックリだよ。Por qué no va a volver otra época gloriosa como la que tuvimos?/ポル・ケ・ノー・バ・ア・ボルベル・オトラ・エポカ・グロリオーサ・コモ・ラ・ケ・トゥビモス(どうして以前の栄光に満ちた時代に戻れない訳がある?)」と非常に楽観的だったんですけどね。

▽というのも、このミニゲームでゴールを入れたのはたった1人、それも先週末、ラス・パルマス戦でキャリア初のdoblete(ドブレテ/1試合2得点のこと)を達成して勢いづいているコケ(アトレティコ)だけだったから。もちろん今年、MSLで19得点も挙げているビジャが戻って来たのは、前日記者会見でイタリアのGKブッフォンも「リーグが開幕したばかりで、ウチはまだ100%じゃない。スペインはシーズン真っ最中のリーグにいる選手を呼んだ。彼は以前、随分痛手を与えてくれたけど、明日はそうじゃないことを祈るよ」と警戒はしていましたけどね。やはり移籍騒動が長引き、母国ブラジルでバケーション3ケ月目という状態のジエゴ・コスタが来られなかったのは大きなマイナスだったかと。

▽その上、チェルシーで当人の後釜になり、代表でも同じ期待が懸かるモラタなど、「自分はビジャやトーレスがA代表でゴールを入れているのを見て育った」と、24歳という自身の若さを強調しつつも、2年間のユベントス経験は未だに強烈な記憶として残っているんでしょうかね。元同僚のボヌッチ(この夏ミランに移籍)、バルザーリ、キエッリニーリら、イタリアのBBCに正面から挑むのは気が進まないのか、「Aunque me fastidie decirlo, jugar con falso nueve es una buena idea/アウンケ・メ・ファスティディ・デシールロ、フガール・コン・ファルソ・ヌエベ・エス・ウナ・ブエナ・イデア(こう言うのは嫌気が差すけど、偽の9番を使うのはいいアイデアだね)。イタリアのDFはCFがいるとやり易いかもしれない」なんて言い出す始末。

▽さすがにこれにはロペテギ監督も「Morata tiene que estar preparado para jugar./モラタ・ティエネ・ケ・エスタル・プレパラードー・パラ・フガール(モラタはプレーするため、準備ができていないといけない)」と苦笑していましたが、確かにコケも「Ellos intentarán que sea un partido muy físico/エジョス・インテンタラン・ケ・セア・ウン・パルティードー・ムイ・フィシコ(彼らは試合を肉弾戦に持ち込むようにしてくるはず)」と言っていたように、ガチンコの勝負になる可能性はかなり高いかと。ええ、金曜にあったU21のイタリアとの親善試合でもスペインが3-0と勧奨したしたものの、セバジョス(マドリー)が頸椎を痛めて担架で病院に搬送されたなんてこともありましたしね。ただ、大人の代表からは金曜には練習中に負傷したキエッリーニが代表を離脱したため、これで少しはモラタも気が楽になったかもしれませんね。

▽そして前日から入場券を配って、1万人のファンを集めて開催された金曜夕方のサンティアゴ・ベルナベウでの公開練習はどうだったのかというと。こちらでのミニゲームではサウル(アトレティコ)やイアゴ・アスパス、更にはバルトラ(ドルトムント)のオウンゴールなどもあって、そこそこ点は入ったんですが、やはりそのチーム分けではスタメン予測はできず。慣例通り、アウェイのスタジアム練習はせず、選手たちが芝生の状態をチェックするため、スーツ姿で散歩していたイタリア同様、グループ予選中、一番難しい試合とあって、ロペテギ監督も最後の最後までカードをさらすのは避けたかったのか、何度も前線の選手を変えていましたっけ。

▽そんな中での朗報は、さすがお膝元だけあって、アセンシオやイスコ(マドリー)へのコールが多かったのはともかく、この日はスタンドのファンからピケ(バルサ)へのpito(ピト/ブーイング)がまったく聞こえなかったこと。何せ、ことあるごとに永遠のライバルへの物議を醸す言動やSNSメッセージで反感を買うという自業自得的な面はあるものの、この件に関しては代表戦があるたび、マスコミが蒸し返すため、ファンが面白がってピーピーやっているようなところもありましたからね。今回はキャプテンのセルヒオ・ラモスが合宿初日から率先して当人を擁護、折しもスペイン・スーパーカップ優勝で溜飲を下げたばかりのカルバハルやナチョもそれに続いたため、ファンも控えることにしたのかもしません。

▽ちなみにイニエスタ(バルサ)など、「El España-Italia se ha convertido en un auténtico clásico/エル・エスパーニャ・イタリア・セ・ア・コンベルティードー・エン・ウン・アウテンティコ・クラシコ(スペイン対イタリアは真のクラシコになった)」と言っていたこの大一番は土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)キックオフ。木曜にはクリスチアーノ・ロナウドがchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でのゴールを含めハットトリック、ポルトガルがフェロー諸島に5-1で勝っていたり、ベルギーなど、先発したカラスコは得点しなかったものの、ジブラルタルに9-0で大勝。こういう非現実的なスコアが出ると、本当に見るに足る予選は少ないのかと思われますが、それだけにグリースマンが先制点を挙げ、最後は4-0でフランスがオランダに勝った一戦のように、これはネームバリューのある代表同士の対戦ですからね。チケットも水曜には完売していますし、スペインには期待に背かないいいプレーを披露してもらいたものです。

▽え、その間、マドリッドのクラブチームの方は何をやっていたんだって?いやあ、そのロナウド以下、総勢17名が各国代表に出向中のマドリーなど、水曜はジダン監督もニヨンで行われる恒例のUEFAエリート監督会議に出席するために不在。シメオネ監督はずっといたものの、選手13人が欠けているアトレティコ同様、細々と練習を続けていたんですが、どちらもこの週末はオフに。リーガ再開の準備が本格的に始まるのは来週水曜以降、少しずつメンバーが増えていってからになるはずです。まあ、前者ではバジャホ、後者ではガイタンのケガ治り、チームに合流したなんていいニュースもありましたしね。ジダン監督は現在のメンバー維持を希望していましたし、ジエゴ・コスタがアトレティコでプレーできるのは来年1月からとあって、土壇場移籍とも今年は縁がない両者なので、何とも静かなものでしたよ。

▽一方、マドリッド勢で駆け込み補強を続けていたのはレガネスで今週はFWボービュー(セルタ)とMFブラサナツ(ベティス)がレンタルで加入。リーガ3位という現在の実力を証明するように、水曜のグアダラハラ(3部)との親善試合にも1-3で快勝しているんですが、やはり誰も代表に招集されていないというのは丸々2週間、トレーニングに励めるということで、paron(パロン/リーガの停止期間)明けも彼らには結構、期待できるかと。

▽それとは対照的に柴崎岳選手を始め、4人が留守にしているヘタフェは同じ水曜、レクレアティボ(2部B)とのトロフェオ・コロンビーノ(夏の親善大会)に0-1で敗戦。リーガ開幕から3試合も無得点が続いたため、さすがにフロントも焦ったんでしょうね。ヨーロッパの5大リーグで唯一、1日遅れでスペインは登録期限が9月1日に終わるのを利用して、ジェファーソン・モンテロをスワンジーシティからレンタルで獲得しています。ウィングもできる攻撃的MFのエクアドル人選手ですが、柴崎選手も長距離移動で次戦の弟分ダービー、レガネス戦はまだ疲れているはずですしね。果たしてヘタフェが早期に1部復帰初ゴールを挙げるのに貢献してくれる即戦力になってくれるのでしょうか。

▽その脇で奥さんがインスタグラムにボルダラス監督の悪口を書いたことが発覚して以来、チームから隔離されていたカタ・ディアスは木曜に契約を解除、翌日にはマドリッドの2部Bの弟分、フエンラブラダに入団したなんてこともあったんですが、何せ市場は丁度今、閉まったばかり。今のところ、ネイマール(PSGに移籍)の穴埋めに奔走していたバルサにデンベレ(ドルトムント)以降、誰が入ったなんて話も聞かないんですが、朝が明けて発覚するビックリの人事異動があること珍しくないため、その辺はまた改めてお伝えすることにしますね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。