「相手が銀行だからと安心して借入額を増やさないようくれぐれも注意してほしい」と呼びかける古賀茂明氏

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過剰な貸し付けが問題になっている銀行カードローン

これに関し、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、「銀行の名前を使ったサラ金ビジネス」と批判する。

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銀行のカードローンビジネスが批判を浴びている。

最高裁判所の調べによると、2016年度の自己破産件数は前年比781件増の6万4637件となり、13年ぶりに増加へと転じている。その元凶と目されているのが銀行のカードローン事業なのだ。

サラ金業界と違い、銀行のカードローンは“ホワイト”なイメージが一般的だろう。銀行はサラ金業者のように悪質な貸し付け、回収をせず、安心・安全と考えられてきた。

もともと銀行はサラ金のように、カード一枚でお金を貸すというビジネスには熱心ではなかった。私は経済産業省にいた頃、3年間ほど商務情報政策局の取引信用課長として、クレジットカードや割賦販売ビジネスを所管していたことがある。

そこで目の当たりにしたのはサラ金業界の情報力であった。誰にどのくらいのお金を貸せるのか、貸金業にとって最も重要な与信情報の収集システムをサラ金業界はしっかりと築いていた。

それに比べると、企業融資や住宅ローンをメイン業務とする銀行業界の個人与信情報収集力は貧弱で、とてもではないが、リスクをとって個人に小金を貸し出すビジネスには手を出せなかったのだ。

それなのに、なぜ今、銀行がカードローンビジネスに進出し、サラ金並みに過剰な融資をした挙句、利用者を破産に追い込んでいるのか?

日銀のゼロ金利政策による金利低下や企業の資金需要減などによって、銀行は貸し出しが伸び悩み、以前のように利ざやが取れなくなった。このままでは体力のない地銀を中心に倒産ラッシュが起きると危ぶむ声もあるほどだ。

そんな銀行にとって、10%以上の金利が取れる消費者ローンは魅力的なビジネスに映る。しかも、それまでの社会批判を受け、10年にサラ金業者には、年収の3分の1を超える貸し付けを禁ずる「総量規制」が導入されたことで、銀行の優位性がぐっと高まった。貸金業者でない銀行には「総量規制」は適用されず、サラ金に代わって消費者に自由に貸し込む余地が生まれたのだ。

そこで銀行は「総量規制」で経営が傾いたサラ金会社を買収して子会社化する挙に出た。そのサラ金会社が利用者にどれだけ貸せるかの信用調査を行ない、貸し倒れの際に債務者に代わって銀行に弁済する保証業務もやる。取り立てはその傘下のサービサー(債権回収会社)に丸投げする。なんのことはない、銀行の名前を使ってサラ金ビジネスをやっているわけだ。

その結果、銀行カードローン残高はこの5年間で6割増の5兆4377億円に増加し、ついには自己破産件数もプラスに転じた。

さすがにこのままではまずいと、銀行は50万円以上のローン審査に収入証明の添付を義務づけるなどの対策に乗り出すことになったが、効果は疑問だ。破産件数はさらに増えるだろう。

ここまで銀行業界を放置していた金融庁の監督責任は重い。3分の1の総量規制などの規制強化を直ちに実施すべきだろう。

銀行のカードローン金利は最高14%と極めて高利だ。相手が銀行だからと安心して借入額を増やさないようくれぐれも注意してほしい。

●古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。新著は『日本中枢の狂謀』(講談社)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中