「我々の体は拘束できても心は拘束できない」 香港の16人の活動家に実刑判決

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著:Oiwan Lam(Global Voices Regional Editor for Notheast Asia)

 大規模な民主化要求デモが香港を動揺させてから3年近くが経つ。2017年8月16日、16名の活動家の若者らが非合法集会に参加し、2つの別々の抗議行動で政府に異議を申し立てたとして有罪判決を受けた。

 活動家らは、すでに判決を受け社会奉仕活動の刑を受け、執行猶予となっていたが、その後、香港律政司は活動家らに対する量刑が軽すぎるとして上訴していた。今週、香港高等法院は原告の訴えを認める判決を下した。

 多くの民主派の市民は今回の判決を、権利よりも権力を慮る司法文化に香港を押しやる政治的動機に基づく動きとみている。

 1審では、2014年、政府の新界東北部開発への3億4,000万香港ドル(約4,350万米ドル)出資中止を求めて抗議活動を行った社会民主連線(LSD)の副党首、黄浩銘(ラファエル・ウォン)氏、土地正義連盟議長、何潔泓(ウィリス・ホー)氏、活動家、招显聪(ビリー・チュウ)氏を含む13名の被告が関わっていた。反対論者は、開発計画が住民や環境の保護を怠ったものであることを懸念し、開発に関わる政策策定手続きが民主的でないとしていた。

 一部のグループは香港特別行政区立法会の外で抗議し、他のグループは、立法会の建物内に侵入しようとした。2015年、参加者全員が不法集会の罪で有罪とされ、すでに80時間から150時間の社会奉仕を行なっている。

 8月15日、高等法院は12名の被告に13カ月、1名の被告に8カ月の実刑判決を下した。

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 2審は、2014年の民主化要求抗議運動で中心的な役割を果たした3名の若い活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏、羅冠聡(ナサン・ロー)氏、周永康(アレックス・チョウ)氏に関わっている。雨傘運動と呼ばれる中国の最高指導者候補者を国民が指名できるよう要求する大規模な座り込みは3カ月続いた。

 この3名は非合法集会の罪により2016年7月に有罪判決を受け、黄氏には80時間、羅氏には120時間、周氏には3週間の禁固刑が執行猶予つきで言い渡された。

 2017年8月17日、高等法院は、黄氏に6カ月、羅氏に8カ月、周氏に7カ月の禁固刑を言い渡した。

 基本法と呼ばれる香港の憲法によると、3カ月以上の禁固刑を受けた個人は5年間、立法議会、地方議会選挙に出馬する権利をはく奪される。活動家らは控訴する構えだ。

◆身体は拘束しても心までは拘束することはできない。

 ソーシャルメディアを通した声明の中で、活動家らは、これによりおじけづくことはないと言明し、香港市民に断念しないよう呼びかけた。

 新界東北部開発計画に挑んだ活動家の1人、何潔泓(ウィリス・ホー)氏は、13カ月の禁固刑が言い渡される前に次のように記している。

 「我々の社会の暗闇と失望を見たことは確かです。私はこの負のエネルギーを拡散したくありません。絶望の中から暗闇に抵抗する光が見えます。寂光といえども光は存在します。裁判所の判決結果はテレビを通してしか見ることができませんでした。テレビに映っていたボーイフレンドや仲間の活動家は刑務所にいます。このような「挫折」を通して人は強くなります。私たちはお互いに支え合い、お互いのためにそこにいます。様々な立場の人が私たちの側にいて変化を起こしてくれることを私たちは知っています。

 有罪ではないと申し立て、自分の行動を謝罪することを拒むことは、判決を変えることができないことに対する確固とした声明です。判決で私たちの信念を変えたり、後悔したりすることはありません」

 ホー氏の母親も娘の裁判についてFacebookでその思いを語っている。

 「今日の新界東北部に対する抗議行動を行った13名の被告の中に愛する娘もいました。3年にわたる裁判の結果のこの判決は重いと思います。

 これまでの人生でここまで打撃を受けたことはありません。複雑な気持ちですし、娘もそうだと思います。

 私ができることは静かに娘に対する支援をしてやることだけです。娘よ、日が昇り、日が沈み、夜、星空を見上げる時、私はあなたと共にいます。あなたのことを考え、あなたに力を与えます。

 あなたが帰ってきたとき、さらに多くの経験を積んでもっとたくましくなっているに違いありません。

 私があなたを誇りに思っていること、あなたは何一つ間違ったことをしていないことを覚えていてほしい」

 新界東北部の裁判の別の活動家、黄浩銘(ラファエル・ウォン)氏はinmediahk.netに弁護の声明を投稿している。

 「私が求めるのは同情ではなく正義です。私が恐れるのは投獄ではなく(社会の)沈黙です。前にも言ったように私は後悔していないし降伏はしません。司法長官は私には心からの反省の様子がないし、服役すべきだと述べています。後悔はしていないという私の正直な弁明は決して刑期の延長を望むものではなく、自分自身や仲間の活動家に対して誠実であるためのものです。イエス・キリストは私と共にあります。

 (力づくで立ち退きをさせられている)新界東北部や万州区の村人には我々が必要です。諦めないでください。我々は活動を続けなければなりません。これは意志の闘いです。銃なき心の闘いです。我々には闘争を実行する辛抱と勇気、知恵が必要です。正義は勝つと固く信じています」

 羅冠聡(ナサン・ロー)氏は2審で8カ月の禁固刑を言い渡された。氏は、国会議員だったが、宣誓就任式で中国への忠誠宣誓を変更したとして最近その資格をはく奪された。

 羅氏も友人に宛て同様に自分の気持ちを記している。

 「壁がどれほど厚くとも、壁の陰がいかに太陽の光を阻もうとも、壁の向こうの道は正義に通じていると信じている。地球を育んでくれる太陽はまだあるのだから。

 私は雨傘運動に参加してくれた人々と正義のために服役する。同情はしないでくれ。敢然として歩を前に踏み出してくれ。獄中にいても、私の自由な精神は我々の信念と価値観を共有してくれた人々と共にあり、よりよい生活に向かって闘争を続ける。独裁は自己を犠牲にした人々によってではなく、集団で変革を遂げるために道徳の力に突き動かされる人々によって打倒されるのだ。そのような変革への意志なくして、刑に服していない、または服役中の我々の苦しみや痛みは意味をもたない」

 有名な学生リーダーの黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は収監される前にこうツイートしている。

 「我々の体を閉じ込められても、我々の精神は閉じ込めることはできない! 我々は香港に民主主義を求める。我々は諦めない」

◆香港返還後、最年少の政治犯が「創り出された」

 市民政党は声明の中で以下のように、活動家に対する再判決を「合法的テロリズム」と表現している(Hong Kong Free Pressより)。

 「判決は新界東北部抗議行動に対する判決よりも軽かったが、市民政党はこの判決は同じ原理を示すものだと考えている。それは、政府が控訴手続きと判決の再審理に手段を選ばないということだ。これは実質上、権力層に反対する抗議者や社会運動を処理するための合法的手テロリズムの道具である。控訴や有罪判決は、一種の構造的暴力であり、政治的抑圧だ。香港返還以来、権力側は、最年少の政治犯を「創り出した」」

 「返還」とは、1997年のイギリス領から中国への支配権の転換を指している。

 ヒューマンライツウォッチ中国代表のソフィ・リチャードソン氏は同じくHong Kong Free Pressを通して次のように述べている。

 「律政司の異常な服役の要請は、社会秩序ではなく、この3名を立法議会から締め出し将来の抗議を阻むための臆病な政治的判断だ」

 国際社会はこれに対し意見を表明しており、アメリカの様々な国会議員もこの動きを非難する声明を出している。

 民主化を要求する市民は16人の訴追判決を受け、8月20日日曜日、決起大会を計画している。

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.
Translated by サンチェスユミエ