<後編>株式会社AOKI

写真拡大

WOMAN'S CAREER

<後編>株式会社AOKI

今回の取材先 株式会社AOKI
AOKI・ORIHICA(オリヒカ)というメインブランドを掲げ、メンズ&レディーススーツを中心に、フォーマル、カジュアルまで幅広い商品を展開。「誰もが日替わりでスーツを着られるようにしたい」という創業時の思いを継承し、お客さまへファッションのトータルコーディネートを提案している。
すがま・のぶこ●営業本部 レディースエリアマネージャー。東京都出身。38歳。経済学部経済学科卒業。2002年入社。

レディース商品に特化したエリアマネージャーとして、担当する21店舗を回り、売り場改善や接客改善などを行っている須釜さん。前編では店長を目指すきっかけとなった副店長時代のエピソードをうかがいました。後編では、店長としての苦労ややりがいについて、話をうかがいます。

■ 「シューズを選ぶならAOKI」という信頼をスタッフ皆で作っていった

−実際に店長を経験して、どんなことが大変でしたか?

入社8年目に店長の社内ライセンス資格を取ってすぐ、新店オープンとなった秋葉原店のフロア店長を任されました。秋葉原店は当時、6階建ての都心最大級の店舗で、フロアごとに店長を置いていました。私が担当したのはビジネス雑貨のフロアでした。
まず感じたのは、「店長としてメンバーの人生を預かっている」という責任の大きさです。秋葉原店には社員・パート、アルバイト契約のパートナーさんが48人いて、皆が生活のためにさまざまな働き方をしています。採用時の契約によって週何日、どれくらい働くか個人によって異なりますので、その内容を把握しながら、個人の能力が生かされるような業務の任せ方を考えなくてはいけません。一方、人件費を含めた予算管理をしている店長としては、閑散期・繁忙期の時期に応じて、動員したいスタッフ数のコントロールも考える必要があります。お店にとっても、スタッフ一人ひとりにとってもWin-Winとなる働き方の模索に、マネジメントの大変さを痛感しました。

 

−店長として、やり遂げたと実感できたことは何ですか?

秋葉原店では、シューズやベルト、バッグ、ネクタイなどの小物のみを扱うフロア店長という難しいポジションを任されましたが、売り方のスタイルを確立し、オープンした最初の年に全店でシューズ売り上げの一番を取ることができました。
店頭では、シューズを見に来るお客さまに対し、そこからトータルのファッションを提案できるような接客を全スタッフで心がけました。シューズを長く使っていただくためのケア用品から、シューズの色合いに合わせたベルトの提案なども進め、接客マニュアルを作成。シューズを多く売る競合の百貨店さんを頻繁に訪れ、そこでスタッフがどんな提案をしているのか、どんなフレーズを口にしているのかも勉強させていただきました。シューズを見に来たお客さまにスーツを提案してお買い上げいただいたこともあり、「AOKIに靴を買いに行くと、ファッションをトータルにアドバイスしてくれる」という信頼を広げ、リピートのお客さまを増やすこともできました。
秋葉原店を4年担当したあとは、新宿西口本店のレディース商品の単独フロアを立ち上げ、今の仕事につながっていきます。

 

■ 販売の方法を見直し改良を提案して、全店の利益率アップにつなげた

−現在のお仕事内容と、その難しさ、面白さについて教えてください。

現在は、レディース商品部門に特化したエリアマネージャーとして、都心の21店舗を横断的に見ています。通常、エリアマネージャーは特定の地域の複数店舗を丸ごと見るため、「売り上げを上げるために、メンズの小物フロアを縮小して、礼服のフロアを拡大しましょう」「スタッフの教育体制をこう変えましょう」といったトータルな提案ができます。ただ、私の場合、レディース商品のみの担当なので、詳細な商品分析、細かな売り方の指示がより重要になってきます。週3日は、1日2〜3店舗ペースでお店を回るほか、2カ月に1回は、各店舗のレディース商品の担当者を集め、強化すべき商品や店舗での成功した取り組みを共有し、店舗内でレディース商品が存在感を発揮できるような施策に取り組んでいます。
例えば、AOKIは、全店舗全商品で割引セール内容が一律でした。しかし、他社の売り方を研究し、新しい売り方の提案、実践をしました。結果的に利益率を上げることができました。

 

−今後、チャレンジしたいことはありますか?

女性のお客さまに対する接客方法はまだまだ改善すべきことが多く、拡大の余地があるなと感じています。近い将来、レディース商品のみに特化した専門店を出すことが私の目標。また、全国560店舗すべてにレディースフロアができ、売り上げ面でも頼りにされるような領域にしていきたい。そのために、各店舗の担当者と売り方の模索や女性の働き甲斐の模索を続けていきたいですね。

 

■ 現場から業務改善のアイデアをどんどん出せる制度がある

−店舗スタッフからエリアマネージャーへとキャリアアップしてきて感じる、AOKIの働きやすさは何だと思いますか?

「店舗をこうしていきたい」という意見を言いやすい風土、聞いてくれる上司が常にいるところでしょうか。
社内制度としても「ベストプラクティス制度」というものがあり、店舗での改善提案を誰でも応募できるシステムが確立されています。ネット上のアンケート調査のようなフォーマットに、「こんな商品が欲しい」「こんなサービスがあるといい」「社内の制度をこう変えてほしい」など意見を書き込むことができ、それに対して各部門の担当者からフィードバックがくるようになっています。
例えば、「男性がスーツを試着する際、試着室にさっと脱ぎ履きができるビジネスシューズがあるといいのでは」という現場の意見が採用され、かかと部分がカットされた試着専用シューズが実際に開発されました。ほかにも、お客さまのオーダーメード品に対する要望をタブレットに入力できるシステムの開発も、現場のアイデアを起点に進みました。アイデアが採用されると、「ベストプラクティス賞」に選ばれ、社長からのメッセージとインセンティブがもらえるようになっています。1週間に400〜500件ほど意見が寄せられるので、緊急度の高いアイデア以外は実現が難しいとも言えますが、「こういう意見がある」という事実がいったんすべて受け入れられる風土は、意見を言いやすい店舗の雰囲気にもつながっていると思います。

 

6年ぶりに再開できたスノーボード。体が感覚を覚えていたので楽しく滑れた!

 

■ ある一日のスケジュール

担当している都内21店舗に顔を出すのは、週に2〜3日。回れる日は、1日3店舗ほど立ち寄るが「1店舗につき3時間ほどは滞在したいので、時間が足りない」と話す。店舗を回らない日は、本店でレディース商品に関する施策の打ち合わせなどが入っている。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/臼田尚史