職員たちの脳にダメージを与えていたのは…?

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2016年11月から2017年春までの間に、キューバのハバナに駐在する米外交官や大使館関係者少なくとも16人が、難聴や頭痛、めまい、吐き気などを訴えていたとする報道を米国の複数のメディアが伝えている。

米国務省も報道内容を認めており、調査によって16人は軽度の「外傷性脳損傷(TBI)」を負っており、原因を調査していることをCNNなどに対し明らかにした。6月にはカナダの大使館関係者にも同様の症状が確認され、米国内では「音響兵器などで攻撃されているのではないか」という声まで挙がっている。

大使館職員が次々と体調不良に

発端は2017年8月10日に米国務省がハバナの米国大使館で5人の職員が体調不良を訴えており、そのうち2人は重大な問題が確認され治療のために米国に帰国したと発表したことだ。

その後、CNNの取材に対し匿名の国務省高官が「音響攻撃を受けたことによる健康被害の可能性もある」と発言。翌11日には、カナダ外務省も同国在キューバ大使館で同様の症状を訴える職員がいるころを確認したと認めている。

8月25日付のCNNの記事によると、体調不良の報告が急増したのは2016年11月から今年の春にかけてで、大使館全体で16人。検査のため米国から医師が派遣されたものの、その時点では原因はわからなかった。

その後帰国した2人を詳しく調査したところ、脳が衝突や裂傷など何らかの損傷を受けることで機能障害を起こすTBIを負っていることが確認されたという。脳震盪や脳挫傷もTBIに含まれており、職員らが訴えていた吐き気やめまい、難聴といった症状にも説明がつく。

ただし、職員らは頭を殴られたりしたことはなく、目立った外傷もない。なぜ脳に損傷を負ったのか。憶測のひとつとして、音響兵器による攻撃ではないかとの声が出ているのだ。暴徒鎮圧などの目的で高周波や低周波を流す兵器は存在しており、イスラエルなどでは実際に利用されている。

米国立衛生研究所(NIH)の研究者も「特定の音波を受け続けると、心拍数や呼吸、血圧を変化させる可能性がある」と指摘。

「低周波はバランス感覚と聴覚に半永久的なダメージを与えることがあり、長期の曝露で認知機能や記憶にも影響を及ぼす可能性がある。脳の損傷や微小な出血を引き起こしていてもおかしくはない」

と話していた。

攻撃? それとも何らかの事故?

本当に音響兵器による攻撃なのか、あるいはまったく別の理由、たとえば大使館の近くに低周波を発してしまうようなものができたのではないかといった点は不明だ。

キューバ政府による攻撃ではないかと指摘する声もあるが、2016年11月といえばオバマ前大統領主導の下キューバとの関係改善が進められていた時期。わざわざ改善ムードに水を差すようなことキューバが行う可能性は低い。

米国務省によるとキューバ政府の同意を得て連邦捜査局(FBI)の捜査官を派遣し、徹底した調査を行っているが、キューバや第三国によって外交官らに攻撃が行われたという証拠はないという。同省は第三国が米国とキューバの関係を壊すために攻撃をしているのではないかと疑っているようだ。