ハリル監督、“衝撃発言”の真相激白【後編】 「他のところからオファーがあった」

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W杯出場決定翌日の独演会後半は自身批判のメディア、日本への愛情を吐露する内容に

 オーストラリア代表に勝利し、6大会連続6回目のW杯出場が決定した翌日の1日、日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督の会見は質疑応答を含めて1時間を超えるロング会見となった。

 ストリーミング配信したメディアもあり、その様子を見守ったサッカーファンも多いが、指揮官自身が「モノローグ」と表現した質疑前の20分以上にわたる“独演会”は、後半から自身を批判したメディア、そして日本代表以外の場所からオファーを受けたこと、日本への愛情を吐露する内容となった。

【前編】ハリル監督、“衝撃発言”の真相激白 「私のやり方に全員が同意してなかった」

「サッカーの世界で生きているし、日本より大きなプレッシャーのなかでも仕事をしてきた」

 ハリルホジッチ監督は2014年ブラジル・ワールドカップ(W杯)でアルジェリア代表を率い、決勝トーナメント進出を成し遂げた。同代表監督当時もメディアとの軋轢があったとされるが、今回の最終予選で受けた批判に関しては黙っていられなかったようだ。

「チームが首位の時でも批判をされていました。勝ち点も、得失点差も最も良い数字を残している状況下で、私が去らないといけない、私がオーストラリア戦の結果次第で解任されるとしていた方々について、私は攻撃と受け止めました。まあ、チームは勝ちましたが。試合前に私は(田嶋幸三)会長と話をしました。会長は“サポートする気持ちは変わらない”ということをおっしゃっていただいた。私はそれに結果で応えなければいけないと思いました。監督として結果を残してなければ批判の対象になるでしょう。私は日本に来てからずっとW杯出場を目指して戦ってきました」

「忠誠心がある。日本という国に愛着がある」

 この後は前日の記者会見で触れた「家庭の事情」について触れるのではなく、“自分には別のオファーがあった”という驚きの示唆、そして日本への愛着を口にした。

「私にプレッシャーを掛けている方々に対してですが、もちろんJFA(日本サッカー協会)が『辞めてください』と言うこともあるでしょう。しかし、私の方から辞めますという状況ではない。もちろん、様々な状況があるでしょう。一つは私の個人的な状況によって辞めざるを得ないことが考えられたり、サッカーに関係ない理由があったりもすることがあります」

「また、これは初めて言いますが、例えば他のところからのオファーがあったり、金銭的にも競技面でもより良い条件を提示されたこともありました。しかし、私は目的を持ってここに来ているので、忠誠心がある。そして2年半ともに過ごしているこのグループに愛着があり、日本という国にも愛着がある。私もこちらにいるし、家族もよく訪れている」

 続けて話し始めたのは、田嶋幸三会長との信頼関係、日本サッカーを向上させたいとの意欲についてだった。

「会長との関係も非常にはっきりしたものです。そのなかでの責任感が私のマックスを引き出させている。私が到着してからどのように仕事をしてきたかは、会長もその姿を見ているはずです。私の意欲は日本のサッカーを向上させるために全てを注ぎ込んでいる。仕事をしているなかでミスもあるでしょう。理想的にすべてが進むわけではない」

「日本代表監督を辞めることがあれば…」

「でも私はこのチームで良い結果を残すためにここにいる。日本サッカーを向上させるべく、私は多くの人にアドバイスや言葉を掛けている。私の仕事の仕方は前任者と少し違うかもしれませんが、外交的なことはやっておりませんので、それが良いと思う方も、そうでもない方もいるでしょうが、自分の仕事には誇りを持っています」

「いつかこの美しい国を去ることがあれば、誇りを感じながら去ることになるでしょう。友人として去ることになると思いますから、何度もまた日本にあいさつに訪れることになると思います。もしかしたら日本代表の監督を辞めることがあれば、日本の美しいところを見る時間もできるかもしれません」

 そして今後の自身の去就、そして自らのパーソナリティーについて説明し始めた。

「昨夜の発言のなかにはそういった意図もありました。批判されてきた方々に向けたものもありました。それと同時に、皆さんに対する感謝の言葉もありました。そして私が今後どれくらい日本代表の監督を続けられるかは結果次第でしょう。私からは申し上げられません。こちらに会長がいますが、私に何かあれば最初にお知らせするのが会長です」

「私はロボットではなく、感情を隠すことはできない。ですので、私は外交的な話し方に欠けた話し方をしてしまうと感じることもあるが、この年齢では変わることはないでしょう。様々なところで競技面の成功を収めてきました」

「とある方々には残念かもしれませんが…」

 間髪を入れることなく話し続けた指揮官は、ようやく一息つき、このように結んだ。

「私はとある方々には残念かもしれませんが、ここで仕事を続けます。いつまでかは分かりません。長いモノローグになってしまいましたが、チームが動揺することを避けたかったので、なぜそういう発言をしたかを説明しました」

 この後の質疑応答でも、質問内容を遥かにしのぐ量の返答をして、自らのサッカーや戦術をこれでもかと語り尽くした。その手法は非常に独特だが、自らの想いを余すところなく伝えたいタイプの指揮官であることが、今回の会見でより一層鮮明になったのは間違いない。

【前編へもどる】ハリル監督、“衝撃発言”の真相激白 「私のやり方に全員が同意してなかった」

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

田口有史●写真 photo by Yukihito Taguchi