史上最年少プロ棋士・藤井聡太四段の活躍もあって、いま、空前の将棋ブームです。藤井四段を見習って、お子さんに習わせたいという人も多いのでは?
「年齢関係なく始められて、謎解きやブロックを組み立てるような楽しさがあるのが将棋。対局中にわくわくドキドキを同時に味わえるのが魅力ですね」

そう教えてくれたのは、女流棋士で将棋文化の普及活動もしている『いつつ』代表の中倉彰子さんです。「ゲームの楽しさもありながら、さまざまな力を養える側面もある」という、将棋の魅力について詳しく伺いました。


将棋を指すことで、決断力や集中力が身につく

将棋を指すことで身につけられる力とは、具体的にどんなものでしょうか?

「まずは決断力です。一度対局が始まったら、助言を受けることはできず、自分一人で指し手を選ばなければいけないので決断力がつきます。相手のいるゲームなので、『相手だったらどうするか』を自然と考えるようになり、相手の目線に立つことも覚えることに。考える力も期待できます。答えがひとつではなく、相手の指手と自分の持ち駒から勝つための手を考えて選んでいくからです。いまはネットなどでいろんな情報がすぐ手に入り、考えなくてもすぐに結果に辿りつける環境なので、考える訓練になるのではないでしょうか。じっくり考えていくうちに、集中力も期待できると思います」

将棋によってさまざまな力が身につくのは、子どもだけでなく、大人も同じ。

「たとえば対局の後に『感想戦』という意見の交換があるのですが、相手の考えに触れることができ、自分とは異なる視点や新たな発見に出会うことができます。これは、相手の視点に立つことに役立つと思います。また、将棋は自分だけよくなろうとしたり欲ばると勝てないもの。ときには相手に攻めさせてあげたり譲ったりという押し引きが大切で、我慢もしなければなりません。思い通りにいかないことや我慢することに慣れる力もつくのでは」●子どもには勝つ喜びを感じさせて

子どもに将棋を始めさせたいときは、「8種類の駒があって楽しいんだよ」とゲーム感覚で誘ってみるのがおすすめだそう。その際に気をつけたいのは、「親が勝ちすぎない」こと。

「親が将棋ができる場合、とくにお父さんはお子さん相手に勝ってしまうことが多いと思いますが、お子さんがハマるまでは、勝つ喜びを味あわせるといいでしょう。また、将棋は負けた方が『負けました』というのが礼儀ですが、子どもにとって普段使ったことのない強烈な言葉なので、負けを嫌がって将棋を指さなくなってしまう子もいます。そのため、負けを気にしないよう伝えてあげるのも大事です」。●テレビで将棋を観るのも楽しい

自分では将棋を指さずに、観て楽しむだけの「観る将」も増えています。
「若い棋士のなかには、じつは結構イケメンがいます。たとえば先日藤井聡太さんを破った佐々木勇気五段や、西のイケメン王子と言われている斎藤慎太郎七段などが注目です」。
お気に入りの棋士を見つけられると、応援が楽しくなりそう。また、将棋はプロ棋士たちによる解説も見どころのひとつです。

『こういうふうに読んでこう指してる』という棋士たちの頭の中を読んで解説しているので、将棋がわからない初心者ほど参考になるはず。ダジャレを交えて解説する豊川七段や、本当に入り込んで大きく驚いたりしながら解説する加藤一二三先生の解説はおもしろいのでおすすめです。いまは動画配信でも対局が見られるので探してみては?」

日常とはまったく違う時間が味わえ、リフレッシュやストレス解消にもおすすめ。親子で将棋盤を挟めば、会話も弾みそうですね。●教えてくれた人
【中倉彰子さん】
女流棋士。6歳から将棋を始め、1994年4月、高校3年生でプロデビュー。現在は『いつつ』代表として、将棋文化をはじめとする日本の伝統文化の普及活動をおこなう

<撮影/難波雄史 取材・文/ESSE編集部>