横綱・稀勢の里、秋場所について明言せず

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 大相撲秋場所(東京・両国国技館)は、今月10日に初日を迎える。

 多くの力士が初日に向け、稽古で汗を流している中、横綱4場所目となる稀勢の里の秋場所への出場ははっきりしていない。ここまで、夏巡業には途中から参加したものの、日々の稽古では調整程度となっており、今なお体調は万全とは程遠い状態だという。

■大けがを押しての出場の是非

 果たして、秋場所の土俵を踏む姿はみられるのだろうか。

 3月に行われた大阪での春場所13日目に、日馬富士との取り組みで負った左上腕部の負傷が完治せず、強行出場した5月場所では11日目から、生涯2度目となる途中休場。続く名古屋場所でも5日目に左足首を負傷し、6日目から休場と、横綱昇進後は深刻な怪我に悩まされ続けている。

 現在の体調について稀勢の里自身は「あせらず、ゆっくりと」と語り、秋場所への明言は避け、状態を見極めている。

 誰もがその姿を重ねてしまうのは2001年5月場所千秋楽、横綱・武蔵丸との結び、さらには優勝決定戦を戦い抜き、その後、7場所に渡り全休場した横綱・貴乃花。周囲からの制止を振り切り、千秋楽も土俵に登り続け、場所中に負った負傷は力士生命に影響を及ぼすにまで至った。

 あくまでも貴乃花本人の意志を貫いたが故であり、横綱としての責任と力士としての本能がそうさせたのかもしれない。そして、貴乃花に敗れた武蔵丸もその取り組みでの敗北以降、大きく自信を失いかけた時期もあったという。

 いつの時代も土俵上には様々な感情が生まれ、我々ファンは胸を締め付けられるようなドラマを目の当たりにする。

■自身のため、そして多くのファンのために 

 負傷箇所は今も痛みが残っているという稀勢の里。

 ここまで、横綱審議委員会をはじめ、休場を促す言葉も投げかけられてきた。それでも、稀勢の里の決断が如何なるものになろうとも、そこには稀勢の里自身の感情のみが存在するはずだ。もし、土俵に立つのであれば声援を送るのは間違いない。

 ただ、相撲界、そしてファンにとっても稀勢の里をはじめ、すべての力士は宝物であることもまた、同じである。長く、力士として戦い続けるためには時として、勇気を擁する決断もやはり、必要なのかもしれない。