キレる高齢者が増えていると言われている。2016年版犯罪白書によると、2015年に傷害事件を起こした65歳以上の高齢者は1715人、暴行事件は3808人と、いずれもここ10年で急激に上昇している。

8月21日付の産経新聞では、こうした現状を「孤立…キレる高齢男性」という見出しで、一面で取り上げたが、これに対し、8月31日付の同紙に、86歳の男性から投書が寄せられた。「高齢者がキレやすいのは社会に冷遇されているからだ」との投書内容に、ネットでは賛否両論が挙がっている。

待ち合わせに遅れた自分を置いていった友人に「5分も待てないのか」と逆キレ

男性は、友人と駅の改札で待ち合わせた際にキレてしまったという。集合15分前に駅に到着するも、構内で迷ってしまい、結局5分ほど遅れて集合場所に着いた。携帯電話を持たない男性は、姿の見えない友人の所在を確かめるため、近隣デパートの公衆電話から自宅に電話。妻に、友人から連絡が来ていないか訊ねたという。

すると、「先にレストランに行っています」との伝言があったと判明。男性はこれに対し「5分も待てないのか」と憤慨し、家に戻ってしまったのだ。この行動を「反省はしている」とは言うものの、

「高齢者がキレやすい背景には、社会で冷遇されていると感じるイライラがある」

と主張していた。駅構内の公衆電話が撤去されて見つからなかったことにも怒りを露わにした他、自動改札機の仕様に関しても「切符で入れる自動改札口も減り、今では端か真ん中の1つだけのことが多い」と苦言を呈する。こうした主張をした後、最後に

「高齢者にも温かい社会であってほしい」

と結んでいた。

「『分かった』と言ってレストランに行けばいいだけ」

ネットでは、男性の主張に同意する意見は少ない。それよりも、遅刻した投稿者に対し「これって自分の責任で、社会云々はこじつけだろ」とつっこみを入れる人が多く見られる。

公衆電話の撤去による不便に関しては、投稿者に共感する声も寄せられていたが、「駅員に聞かなかったのか?」と疑問や、「プリペイド式の携帯を持てばいいのでは」と提案する人も目立った。

改札の仕様についても、切符を買う方が面倒だろうとの意見が出たほか、先にレストランに行った友人にキレたことについても、「『分かった』と言ってレストランに行けばいいだけ」と諫める声があった。

一方、高齢者特有の精神的不安定さの面から、男性に寄り添おうとする人もいた。投稿者は個別の事例に怒っているのではなく、「ただ取り残されたくないだけなんじゃないかなって思う」と指摘し、

「このおじいさんのことを老害ってただ批判するだけで終わらせるような人がいるから、どんどん日本は冷たい社会になるんだと思う」

と意見する。今や携帯電話どころかスマホを持つのが当たり前になり、電車も切符ではなくICカードだ。高齢になって世の中への適応が難しくなっていくことは誰にでも起こることであり、寛容な目で見るべきだとのコメントもあった。

8月21日の同紙では、新潟青陵大学大学院の碓井真史教授が高齢者のパーソナリティーについて、「加齢によって思慮深くなる『円熟化』と、感情の抑制が効かなくなる『先鋭化』の2つがある」と解説していた。年齢を重ねて攻撃的になる人がいるのは事実だし、誰にでも起こり得る可能性がある。それを思うと、男性の投書内容を「投稿者が悪い」と一蹴してよいのか、難しいところだ。