照準を絞って調整を進めてきた。ロシアW杯出場が懸かった大一番・オーストラリア戦のピッチに立つために――。

 6月7日に行われたキリンチャレンジ杯シリア戦の前半7分に負傷した日本代表MF香川真司(ドルトムント)は、同10分にピッチを後にした。その後、左肩関節前方脱臼と診断されると、8月12日のDFBポカール(ドイツ国内杯)1回戦で66日ぶりに復帰するまで実践から離れた。

 負傷はしていた。しかし、自身は「この2か月はそのためにやっていた。普通にいけばチームもそこまで無理をさせたくないというのはあったけど、短期的な目標としては、この試合しか考えていなかった」とオーストラリア戦に向けて調整を進めた。そして、復帰後のリーグ開幕戦と第2節に途中出場すると、オーストラリア戦のメンバーに招集されて代表に合流。しかし、大一番で背番号10に出場機会は巡ってこなかった。

 だが、下は向かない。何よりも大事だったのは、チームのW杯出場権獲得。「まずはW杯に行くことが目標だったので、自分が出て活躍するのは次。そういう意味で、今は目標を達成できたことが素直に良かった」と素直に喜びを表しながら、「(自身の)結果が出なかったことをプラスに考えたい」と続けた。

 ピッチに立った仲間がオーストラリアから2-0の完封勝利を収め、出場権を獲得したからこそ、香川は今、約1年後を見据えることができる。「W杯でどう活躍するかを見据えた中で、この1年どう取り組んでいくかがすごく大事。個人としては覚悟を持った1年にしたい」と静かに闘志を燃やす。

 5日のサウジアラビア戦後にはチームに戻って、「ケガのこともあるので、そこの怖さをなくし」、完全復活を目指すことになる。ドルトムントはリーグ戦だけでなく、チャンピオンズリーグにも参戦して過密日程をこなすが、「W杯前にトッテナムやレアルとやれるのは何か意味があることだと思っている。そういう相手に対してどこまでできるか、それが僕のW杯に掛かっているし、この1年の取り組みが僕にとっての集大成としても重要になってくる」と強豪との対戦でさらなる進化を狙う。

「これからの1年、改めてW杯が決まった今、来年の夏をどう迎えるかというのを、もう一度日々考えながらやっていきたい」。来年の夏、ピッチ上で躍動しているように――。日本代表の背番号10がロシアに向けて、新たな一歩を踏み出す。

(取材・文 折戸岳彦)


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