ジョンソンと石原慶幸の黄金バッテリーが広島に連覇の夢を運ぶ

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 広島のエースが完全復活した。8月25日の中日戦でジョンソンが快投を披露。8回を2安打無失点に抑え、中日打線をまったく寄せつけなかった。

 今シーズンは体調不良から出遅れ、復帰後にはケガで離脱と、まったくいいところがなかったジョンソン。その借りを返さんばかりの好投に広島ファンは歓喜した。ジョンソンを欠くなかで奮闘していた投手陣の疲労が色濃くなってきた今、連覇に欠かすことのできないエースの復活は、計り知れない戦力アップとなるだろう。

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■ジョンソン抜きの余波がもたらした悪夢

 悪夢。そんな表現がうってつけな惨敗だった。8月22日から24日にかけてのDeNA戦では、まさかの3試合連続のサヨナラ負け。しかも、そのすべてが大量リードをひっくり返されての敗戦だった。

 さらには、ここまでチームを引っ張ってきた若き4番打者・鈴木誠也が骨折で戦線離脱。そして、マジックも消滅……。

 目を覆いたくなるような惨劇に、1996年に見舞われた首位独走からの大失速すら思い出した広島ファンも少なくない。負け慣れしているネガティブ思考は、首位を快走していても払拭できないファンの性なのだ。

 悪夢の3連敗の原因は明らか。それは疲労だ。特に中継ぎ陣の疲労は顕著で、3連敗中も炎上を繰り返す見過ごせない状況に陥っている。

 中継ぎ陣の疲労は、ジョンソンの離脱が大きく影響している。昨シーズン、リーグ3位の180回1/3を投げ、リーグ4位の3完投を成し遂げたジョンソンを欠く陣容では、中継ぎに負担がかかるのは必然だ。

 昨シーズン、1試合平均6.9回を投げていたジョンソンに対し、今シーズンの1試合平均投球回数の最多は野村祐輔の6.3回。単純に考えても、1試合に投入する救援投手がおよそ1人多くなる計算だ。

 また、連戦の頭に登板することがほとんどだったジョンソンが長いイニングを投げることで中継ぎ陣の登板数を減らせるだけでなく、登板間隔を空けることもできた。

 このように投手陣全体への貢献度の高いエースを欠いたなかで、中継ぎ陣が疲弊しDeNA戦での悪夢を招いたのは、起こるべくして起こった事態だったのだろう。

■ポストシーズンを見据えて

 中継ぎ酷使の不安を払拭できるかどうかは、やはりエース、ジョンソンの左腕にかかっている。先述した中日戦では、沢村賞投手の面目躍如とばかりに150キロ近いツーシームで中日打線を寄せつけなかった。

 このようなピッチングが継続できるなら、疲労困憊の中継ぎ陣の負担は軽減できるだろう。

 鈴木の離脱で攻撃力の弱体化は避けられない。僅差のゲームが多くなっていくことが予想される。接戦を勝ち抜くには投手陣の踏ん張りは必要不可欠。そんな状況下でのジョンソンの復活はなんとも心強い。

 また、リーグ戦後のポストシーズンは短期決戦だ。短期決戦は投手力が最重要ポイントとなる。昨季のポストシーズンでジョンソンは完封を含む2勝を挙げ、3試合17回1失点と完璧な投球を披露した。ポストシーズンにこそ、エースとしての仕事が期待される。

■今こそ生きる石原の経験

 そのジョンソンの復帰戦を巧みなリードで勝利に導いたのは、ジョンソンが絶大な信頼を寄せる専属捕手・石原慶幸だ。固い絆で結ばれた2人の相性は相変わらず抜群。ジョンソン復活に石原の存在は欠かせない。

 今シーズンの石原は、長年守り続けた正捕手の座を成長著しい會澤翼に明け渡した格好となっている。

 年齢は38歳。打撃はもとより、盗塁阻止率など守備面でも衰えが見えてきた感は否めない。先の中日戦でも致命的なバントミスを犯すなど、真骨頂とも言える勝負所で魅せる神通力も影を潜めてしまった。

 しかし、ジョンソンが復活したとなれば「専属捕手・石原」の存在感が増してくるだろう。また、勝負の9月、その先のポストシーズンで石原の経験は必ず必要になってくるはずだ。

 年間を通しての出場経験のない會澤も疲労が色濃い。ここ数試合は抑え捕手としての出場が増えてきている。投手陣からの信頼の厚いベテランの石原が試合を締める安心感はやはり大きい。

 また、通算1,000安打も残り6安打と達成間近。深刻だった打撃不振も、ジョンソン復帰戦ではタイムリーを放つなど上向き気味。ジョンソン登板試合で節目の記録達成となれば喜びもひとしおだろう。

 連覇へ、そして昨シーズン惜しくも逃した悲願の日本一へ。広島に夢を運ぶのはジョンソンと石原の黄金バッテリーだ!

文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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