外と中の食感が違うパン"ロデヴ"って?

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皮はバリッ! 中はもっちりと瑞々しい不思議なパン。ゴツゴツした塊は、ずっしりとした重量を感じさせるが、意外や意外。持ち上げると、その軽さに驚く! ロデヴよ、ロデヴ。あなたの正体は……。

憎めない響きの「ロデヴ」。この子の生まれは、南フランスの山あいにある小さなロデヴ村。地名からその名をとったハード系パンだ。

生地は発酵種と少量のイースト、たっぷりの水で仕込まれる。ほとんど成形しないで焼かれるから、見た目は武骨。でも、素朴な味で、村のみんなから愛され続けてきた。その昔は店先で、硬い皮へ直に鉛筆で値段を書いて売られていたそうな……。

そんなロデヴが今、日本でじわじわ浸透中。しかも、溺愛しているパン職人もいるという。「ベッカライ徳多朗」の徳永久美子さんもその一人。

日本で広まっているのは、現地の切りっぱなしをヒントにアレンジしたものだが、「ひと筋縄ではいかない」らしい。それを確かめに、徳永さんのお店にお邪魔した。

工程をざっくり説明すると……。まずは、フランスパンに似た生地をつくる→発酵種を加える→バシナージュ(足し水)をして、発酵→焼き上げて、はい完成。

「味の決め手は、発酵種。うちでは、レーズン酵母種を使っています」

そう言って見せてくれたのは、18年間、毎日、種継ぎしてきたという家宝。

レーズン酵母種の作用は、糠床と同じ。グリーンレーズンから起こしたほんのり甘い香りの種が、仕上がりに豊かな風味を与えてくれるという。

つくりのハイライトはバシナージュ。こね上げた生地に、さらに水を足す作業だ。バゲットに使う水の量は、粉に対して70%程度。ロデヴはさらに20%の水を足して90%にまでする。作業中、緊張感を漂わせ、水を細く細く垂らしながら徳永さんはつぶやいた。

「怖じ気づいて足し水の量を減らしたくなるんですよね」

というのも、加水率90%の生地は、「スープ状の生地」なんて表現されるほど、ゆるくて扱いにくい。わずかな気温差で機嫌を損ねるし、発酵の進み具合もわかりづらいのだとか。そこがひと筋縄ではいかない所以で、職人魂をくすぐられるところでも。

最終段階。徳永さんは、最高潮に感覚を研ぎ澄ませ、生地の発酵状態を見極めて、いざオーブンへ。高温で表面を固め、中に水分を閉じ込めながら焼くこと40分。こんがり男前のロデヴが次から次に焼き上がった。

焼きたての食感は衝撃的だ。皮はお煎餅のように香ばしくて、中は炊きたてのご飯のように瑞々しい。そして断面は穴だらけ。大きな気泡が生まれるのがロデヴの特色で、バターやチーズをのせれば、穴の奥にとろ〜り流れ込む。その様子に、思わずうっとりしてしまう。

外見と中身のギャップが激しいロデヴ。でも、味は素直でいい子です。

 

(安井 洋子 文・安井洋子 撮影・吉田篤史)