欧州はエンジンそのものを減らしていく流れ

 内燃機関の終焉を迎える政策が世界各国から聞こえてくる。イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパの自動車大国においてガソリンエンジンを含む内燃機関を搭載した自動車の販売を将来的に禁止するといった政策が提言されているのだ。

 もちろん、決定事項ではなく、すぐさま禁止されるという過激な内容ではないが、内燃機関を排除するトレンドであることは間違いない。その目的としては、二酸化炭素対策としてのパリ協定の実効性を高めることだけでなく、欧州や中国の都市部で問題となっている大気汚染の対策として内燃機関を否定する動きが生まれていることは見逃せない。地球温暖化と合わせて異なる2つのベクトルで内燃機関には対策が求められている。

 とくにディーゼルエンジンについては、光化学スモッグを発生させるNOx(窒素酸化物)と、いわゆる目に見えるスモッグの原因となるPM(パティキュレートマター)の排出が多く、大気汚染を抑制するため都市部でのディーゼルを禁止するという動きは、おそらく加速すると思われる。

 ディーゼルからガソリンエンジンへの置き換えが難しい大型トラックなどは別として、乗用車は乗り入れが禁止される方向にある。結果論となるが、1999年に当時の東京都知事であった石原慎太郎氏のペットボトル・パフォーマンス(ディーゼル由来のススを視覚化した)に始まる南関東でのディーゼル規制やDPF(PMをキャッチするフィルター)の義務化といった政策は時代を先取っていたといえる。

 さらにPMについていえば、ガソリンエンジンでも直噴タイプになると排出が桁違いに増えるといった研究結果もある。都市部での大気汚染対策として内燃機関全般が禁止され、EVなどのゼロ・エミッション化に向かう流れは加速することだろう。

 仮にEVに置き換えたとして、クルマとしてはゼロ・エミッションになっても、化石燃料を使って発電するのでは無意味という指摘もあるが、排ガス処理装置の設置など大型発電所には移動体であるクルマでは難しい後処理も期待できるし、なにより発電が100%化石燃料に頼るということはない。

 ゼロ・エミッションビークルの普及は大気をクリーンにすることは間違いない。実際、ディーゼル規制が始まる前の東京の空や道を知っている人からすれば、環境対応車の効果というのは短期間で実効性のあるものだということは実感できるはずだ。

 もちろん、すぐさまゼロ・エミッションビークルに置き換えるというのは難しいし、化石燃料のメリット(給油時間の短さ、インフラの普及度)を考えると完全に内燃機関がなくなるとも思えない。しかし、現段階でのトレンドからすると、少なくともパーソナルユースの乗用車についてはゼロ・エミッション化がスピードアップすることだろう。