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サラリーマンの大敵、通勤ラッシュ。身動きが取れないほどの混雑で不快な思いをしている人も多いだろう。そんな超満員電車では日々、トラブルが発生している。

首都圏の鉄道会社で働くAさん(20代)は、満員電車の「押し込み係」だという。「押し込み係」とは文字通り、朝の通勤ラッシュ時に、乗客を電車に押し込む作業をさす。しかし、押し込みが間接的な原因となり、乗客同士が接触し、ケガをしてしまうこともあるという。中には、押し込みによって肋骨が折れてしまう人もいるそうだ。

朝の混雑率が全国トップ10に入る東京都内のある駅の駅員は「冬場は着ている服がかさばることもあって、一番混みます」「女性専用車両に隣接する車両に男性が殺到する傾向にあります」「痴漢問題の影響で、直接触れる形で押し込むのではなく、自発的に中に入るように促しています。もし押し込む場合でも手ではなく、肩で押し込むようにしています」と語っている。

満員電車への押し込みが原因で、乗客がケガをした場合、責任問題はどうなるのだろうか。前島憲司弁護士に聞いた。

●間接的原因の場合、賠償額の減額可能性が大きい

もし押し込み係による電車への押し込みが原因でケガをした場合、誰が責任を負うのか。

「鉄道会社がけがをした乗客に対して損害賠償責任を負うことが考えられます。ただ、責任を負うとしても、乗客も満員電車であることを承知の上で乗車しているので、怪我をしないように回避する義務を負います」

そうなると、損害賠償額にも影響してくるのだろうか。

「けがをした方にも落ち度があるということで、賠償額が減額されることが考えられます。間接的原因でけがをした場合であれば、なおさら減額の可能性が大きいと思います」

ではケガをした人は、どうするべきなのか。

「治療をすれば完治するような骨折程度の怪我ということであれば、訴訟を提起するよりも専門家に頼んで示談をするか、自分で簡易裁判所の民事調停申し立てをして調停委員のリードに従って話をまとめてもらうなど、なるべく費用をかけずに解決を目指すのが現実的だと思います」

訴訟費用の方が高くなってしまうということか。

「訴訟をするとなると費用と時間がかかります。訴訟をしても回収したいということであれば、大きな後遺症が残り賠償額が高額になることが見込まれる場合など、かける手間と時間、訴訟をすることによる心理的ストレスなどを考えて決めることになると思います」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
前島 憲司(まえじま・けんじ)弁護士
神奈川県弁護士会所属・横浜家庭裁判所・家事調停委員。弁護士になる前に裁判所書記官として10年以上勤務した経験がある。商工会議所の役員やロータリークラブに所属するなどして地域経済に貢献する活動も行っている。鉄道模型や鉄道に乗る「乗り鉄」など鉄道趣味のほか、日本史や神社の歴史をたどるのも好き。
事務所名:弁護士法人前島綜合法律事務所
事務所URL:http://www.law-maeken.jp