TOKIOの楽曲にはなぜ“説得力”がある? 長瀬智也が語った『クモ』制作エピソードから考察

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 TOKIOの最新シングル『クモ』が、8月30日にリリースされた。「クモ」は古谷実の漫画を原作にしたドラマ『わにとかげぎす』(TBS)の主題歌にもなっており、不器用ながらも自分らしく生きようとする全ての人にエールを送るような楽曲だ。今、TOKIOがこの楽曲を発表する意義とは? 芸能ライターの佐藤結衣氏が分析する。

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「本作の作詞・作曲を手掛けたのは、長瀬智也さんです。ラジオ『SUZUKI presents NAGASE The Standard』(TOKYO FM)では、『わにとかげぎす』の主人公・富岡を見て作ったなど、 制作背景についても丁寧に語られていました。多くのファンの心を掴んだ< ずっと見ていた景色も悪くないと気付き始めた>というフレーズについても、“今、自分のいる環境とか状況の良さに気づけず、次の場所とかに憧れてしまいがちじゃないですか。でも、そういう人が今までいたステージが悪くなかったなって思えるってことは、次のステージに行けた証なのかな、なんて”と、TOKIOとして、長瀬さん個人として、いくつものステージを越えてきたからこその言葉だと感じさせる場面がありました。TOKIOがCDデビューして20年以上。音楽と向き合い、歩み続けてきたからこそ、やがて過ぎゆく“今” の大切さを伝える楽曲が生み出せたのではないでしょうか」

 雑誌『月刊ソングス』(2017 VOL.177)では、“「クモ」には男らしさもあるし、ダサい部分もあって。そこもね、大事なところだと思うんですよ” と、言及している長瀬。

「『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系) に代表されるように、TOKIOがやると“ダサい”と思われていたものに、“カッコいい” と思わせるスポットライトが当たりますよね。農業や漁業、昔ながらの村の暮らし…… かつて日本人の多くが見ていた景色の中には、ダサいと切り捨ててきたものも多くあったように思います。それをTOKIOが改めて面白がることにより、“悪くなかった” と振り返ることができる。彼らの生き様そのものが「クモ」の歌詞とリンクしているように感じました。さらに『ソングス』では長瀬さんが“いつも意識しているのは身体が歌ってるかどうか”という言葉が印象的でした。言わされているのではなく、 自分の身体からメッセージを発信していく姿勢。それが根本にあるから、TOKIOの楽曲にはキレイごとでは終わらない説得力があるのでしょう」

 バラエティに情報番組、そしてドラマ……など、 幅広く活躍を続けているTOKIO。「こんなグループはなかなかいない」と佐藤氏は続ける。

「TOKIOはTOKIOという存在でしかないんですよね。アイドルとしても、ロックバンドとしても、まさに規格外。 だからこそ、彼らにしか発信できないメッセージがあると思います。“頑張ろう”というだけではなく、 自分たちから動いて体現していく柔軟さ。そして、目の前のもの、ダサい部分も含めて好きになる愛情深さ。それがTOKIOの変わらぬ魅力だと思います。年齢を重ねるたびに風格が増していく彼ら。今後、どんな音楽を紡いでいくのかますます楽しみですね」

 カップリング曲には、国分太一が手掛けたピアノバラード「story」。そして、“島茂子とザ・ソイラテズ”による「女の坂道」と表現の幅広さと遊び心がたっぷりと詰まっている。 何事も全力な彼らの本気が、多くの人の背中を押すことだろう。(竹上尋子)