航空自衛隊と「PAC3」(写真:AP/アフロ)

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 北朝鮮の暴発で日本は巻き添えを食うのか――。

 8月30日付記事『北朝鮮、在日米軍基地へのミサイル攻撃も選択肢…日米安保条約の当然の帰結』では、『金正恩の核ミサイル 暴発する北朝鮮に日本は必ず巻き込まれる』(扶桑社)の著者で評論家の宮崎正弘氏の話をお伝えした。

 宮崎氏によると、北朝鮮のミサイル開発は中国軍の利権化しており、仮に戦争が起きれば、日米安全保障条約を結び在日米軍が存在する日本が巻き込まれるのは必然だという。では、仮に日本の国土が攻撃された場合、日本は対処できるのだろうか。

「論理的には自衛権を発動することはできます。ただ、これまで領海に進入してきた船や防空識別圏に進入してきたジェット機には対処してきましたが、ミサイルに関しては規定がないのではないでしょうか。日本は自分たちで国を守らなければいけないのですが、今の体制ではできないでしょう。

 日米安保条約にしても、対等な条約ではないですから。自衛隊がなんのためにあるのか。今は、アメリカの第7艦隊を守るための訓練しかしていないのが実情です。そもそも、今の自衛隊には弾がない。年に1回、富士で行う火力演習でほとんど使ってしまうのです。

 弾をはじめ、日本が必要とする兵器はアメリカが持たせてくれないのです。日本にはICBM(大陸間弾道ミサイル)もなければ、もちろん核兵器もない。領空侵犯があればスクランブルでジェット機が飛んでいきますが、ミサイルは積んでいない。これが、『平和憲法』の名の下にごまかされてきた結果ですよ。

 極論をいえば、北朝鮮のミサイルで日本に物理的な被害が出れば、世論はガラッと変わるでしょう。それくらいのことが起きなければ、憲法や法制度に手を付けることはできないと思います。

 あるいは、これも極論ですが、自衛隊がクーデターを起こせばどうなるか。今の日本であれば、戦車の6台もあれば無血で成功するでしょう。抵抗する人がいないわけですから。ただ、実際にはそんなことが起きる前になんとかしなければいけないと思います」(宮崎氏)

●自転車操業の中国経済、崩壊の可能性

 北朝鮮の動向のカギを握っているのは中国だが、中国は海外での巨大プロジェクトの頓挫が目立つ。

「BRICS銀行とアジアインフラ投資銀行を軸にして、『一帯一路』という大風呂敷を広げたわけです。これは、すべてやるとなると総額26兆ドルくらいかかるといわれています。

 パキスタンに鉄道、ハイウェイ、ガスのパイプラインをつくるという計画だけでも約540億ドルかかるとされていますが、現地ではテロが起きて混乱しています。そこで、襲撃を防ぐためにパキスタンの軍隊が1万4000人も配備されて、現地の中国人を守っているというバカバカしい状態になっています。

 スリランカでも、暴動や誘拐、テロが起きているために沖合の工事が2年間も中断しています。ラオスでは中国への反感でテロが起きているほか、インドネシアの高速道路も融資条件が変わったために頓挫しています。パナマ運河に対抗して『ニカラグア運河をつくる』と工事を始めましたが、これも資金が続かなくて中断しています。

 つまり、もう貸すお金がないのですが、あくまで『用地の買収が進んでいない』ということを理由に融資を渋っているわけです」(同)

 インフラ輸出が失敗続きの中国だが、国内の経済状況はどうか。

「中国が抱えている借金は約33兆ドルといわれており、IMF(国際通貨基金)が想定している中国の借金はGDP比280%という巨額です。

 これだけの借財をしているわけですが、まだなんとか輸出が回っていて対米貿易は黒字を保てている。しかし、この10年で中国の人件費は4倍にふくれ上がっているため、アメリカとすれば輸入するよりも自国でつくったほうが安い。そんな中国が今やっていることは、ダンピングによる輸出です。鉄鋼製品などに補助金をつけて赤字の状態で輸出しているのですが、明らかにWTO(世界貿易機関)違反です。先行きは非常に暗いですね。

 中国国内の市場も、消費が減退してきています。中国経済は以前から自転車操業ですが、それでもなぜ倒れずに済んでいるか。理由のひとつは、輸出がまだ回っているということ。2つ目は、まだ海外からの直接投資があるということです。借金はすでに償還時期が来ているのですが、それを返すために新たに借金をして返すということを繰り返しています。

 約2万2000kmの新幹線も建設費はほとんどが鉄道債でまかなわれており、利子の支払いが膨らんでいます。地方政府が行っている地下鉄工事なども、費用は地方債を発行することで返済を先延ばししています。

 この自転車操業が回らなくなったときに、中国経済はガタガタに崩れるでしょう。そんなことは明らかなのに、不思議なことに日本の新聞は書かない。イギリスの『エコノミスト』や『フィナンシャル・タイムズ』などを見れば、そんな記事があふれていますよ」(同)

●中国、経済崩壊なら軍部が大反乱か

 では、いよいよ中国経済の崩壊が近いのだろうか。

「正確にいえば、中国共産党がどうなるかというのが問題です。あの一党独裁体制は強いですよ。軍全体で約230万人いるとされており、『中国人民解放軍』という名称ですが、国の軍隊ではありません。あくまで中国共産党を守るための軍隊なのです。

 そして、第2軍隊的な人民武装警察が100万人くらい。インターネット監視団がアルバイトを含めて約200万人。これで国民を見張っているのです。彼らが3食きちんと食べて、ぜいたくができる。それによって独裁が保たれているわけですが、これは経済が繁栄しているからこそ成立します。仮に経済が悪化して彼らが食べていけなくなったら、必ず反乱を起こします」(同)

 秋には、5年に一度の中国共産党全国代表大会が開かれるが、経済の立て直しについても議論されるのだろうか。

「今の情勢が続く限り、習近平国家主席が2期目を務め、執行部は習派が多数派を占めて権力固めが行われるという観測が主流です。『経済が順調』という前提で党大会を乗り切る。今は、それしか考えていないでしょう。そして、その後どうなるかというのは、彼らにとっても知ったこっちゃないのです」(同)
(文=深笛義也/ライター)