あなたの遊び方、間違っていないだろうか?

大人になり、ある程度の経済力を手にすると、遊び方の流儀が問われるようになる。

酸いも甘いも経験し、東京で遊び尽くした港区民たちの、次なる遊び方。

彼らの最新事情を、飲食店経営者であり港区おじさんジュニアと呼ばれる剛(32歳)が探っていく。

これまでに、パーティールームで興じるトランプの楽しさや、タクシー代は渡さない新ルールなどを学んできた。

さて、今週は?




京都祇園にある店を、いくつ知ってますか?


「剛、来週京都の『空』に招いてもらえることになったんだけど、お前も来るか?」

「『空』、ですか...。」

飲食会社を営む先輩・武史から聞かれた質問に、恥ずかしい話だが、何のことだかサッパリ分からない自分がいた。

“そら”と言えば、日本人シェフ・吉武広樹氏がパリに開いた一つ星の『Sola』が咄嗟に思い浮かぶ。

しかしあの店はパリにあって、京都ではないことだけは断言できる。

「嘘でしょ?つよぽん、知らないの?」

隣に座っていた、元タレントの女子・アサミに若干上から目線で小馬鹿にされ、少し恥ずかしくなって下を向く。

「し、知らないです...」

東京の店には、だいぶ詳しくなった自負がある。

幸運なことに様々な人に色々な店へ連れて行ってもらい、自分でも時間があれば新店や話題の店をチェックしてきた。

しかし、京都となればまた別次元の話だ。狭い島国と言えども、広い日本。そんなことまで言われ始めたら、一体どこまで追求すれば良いのだろうか。

「『空』は週替わりで全国から有名シェフを呼ぶ、京都祇園の会員制レストランだよ。席数は8席のみで、会員の人がいないとまず入れない、幻の店だぞ。」

知らなかった。そんな凄い店が、しかも東京ではなく京都にあることなんて。

「 最近は、港区外でいかにいい店、いい遊びを知っているかがステータスになってる気がするなぁ。」

そうなのだ。本当に超越した人は、東京なんて垣根を超えて、世界中にネットワークがあり、そして良い店を知っている。


出会いを求めて香港まで?港区を飛び越えて遊ぶ驚愕の港区民たち


お食事会は、香港で。婚活は港区外でしたい女心


そこから話題は全国の名店の話になった。

「この前京都の『祇園 さゝ木 』に行ってきたんだけど。」
「来週名古屋行くんですが、『くすのき』へ伺おうかと思っていて。」

途中から、全くついていけない自分がいた。しかも驚くべきは、女性陣が妙に詳しいのだ。

ずっと疑問に思っていたことを、隣のアサミに、そっと問いただす。

「なんで、そんないい店ばかり知ってるの?しかも東京外も含めて。」

昔から、不思議だった。

男性の財力で上手に生きる女性を、昔から何人も見てきた。そういう女性たちはもちろん美人が多いが、ただ美人なだけではなく、男たちの心を巧みに動かす術を持っているようなのだ。

「私の周りに、詳しい人が多くて。」

そう一言放った後で、アサミの発言は続く。

「食事が好きで興味ある、と言うだけでは引かれる時もあるけれど、行ったお店を具体的に言うと、何故か男性陣は“それよりもっといい店を”と躍起になってくれるのよ。」

男性のプライドを、うまくくすぐっている。

高級店に連れて行ってもらえるのも、ある意味才能だな、なんて一人で感心していると、アサミから更にすごい時代の流れを聞いた。

「私の友達なんて、この前食事会のためだけに香港へ行ってたわよ。現地の富豪たちと飲むとか言って。」

-食事会のために香港まで?!現地の富豪って何なんだよ?

港区民は簡単に、国境までも越えていくらしい。




「何で香港までわざわざ行くの?その必要、ある?」

東京に、いや港区にいい男は溢れている。香港まで遠征する意味が分からなかった。

「だって、皆顔見知りだし、大体誰かが繋がっているから、顔が広い港区女子は下手に身動きが取れないの。言うならば、東京にも港区にもお腹一杯なのよ。」

たしかに、自分も結婚するならば派手に遊んでおらず、港区外で出会いたい。ここで出会った女性陣は、どうも信用できないから。

女性も男性に対して、同じように思っているのかもしれない。

「遊ぶのは港区で。でも、婚活は港区外で。女性陣は、皆そう思っているわよ。」

港区女子は、もはや港区の枠には囚われず、人生を謳歌しているようだ。


日本中に通じる顔になるためには?やはり、おさえておくべきはココだった


全ての礎は港区にあり?港区を制したものは全てを制す


-本当に遊んでいる人は、港区外でも高待遇。

どこへ行っても知り合いがおり、いつも優遇される人がいる。彼らは港区にいようが、港区外にいようが関係ない。日本中に、顔が効くのだ。

願わくは、自分だってその立場になりたい。でも一体、どうやったらその層に入り込むことができるのだろうか...

「武史さん。どうやったら、僕もどこへ行っても優遇されるような人になれますか?」

武史さんが驚いたような顔でこちらを見ている。そしてにかっと大きな口を開けて笑い始めた。

「教えてやろうか。一度、その輪の中に入ればいい。ただそれだけのことだ。」

それでは答えになっていない。その輪への介入方法が、知りたいのだ。

そんなことを思っていると、武史さんは意外なことを言い始めた。

「日本中、いや世界中どこへ行っても通じるような強固なネットワークを築ける場所がどこにあるか知ってるか?それが、ここ港区だよ。」




「え?東京と関係ない場所の店に行きたいのに、港区ですか?」

自分でもびっくりするくらい、間の抜けた声が出てしまった。港区で勝負するなんて、今までと何も変わらない。

「剛は本当に柔軟性がないなぁ。ここで築いたネットワークは世界中どこに行っても役立つぞ。」

そう言われてみれば、以前海外へ行った時、武史さんの知り合いの方にお世話になった。

現地の予約の取れない店も取ってもらい、ホテルもコネで安くしてもらった記憶がある。

東京でも、予約困難な店はいつも誰かのツテを伝って取ってもらっている。

一人か二人介せば、知り合いになりたい人に、必ず誰かが繋がっている。

仕事上でも、プライベードでも、何度そのコネで助けられてきただろうか。

「だから皆、港区から羽ばたいても同じようなクオリティーで、安心して楽しく遊べるんですね。」

灯台もと暗し。やはり結局は、港区を巧みに生き抜くこと。それに尽きるようだ。

世界中どこにいても、何かしらのツテがある。
それが港区のネットワークだ。

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壁に耳あり障子に目あり。 “個室”に対して異様なこだわりを持つ驚きの理由とは