試合後、本田に語りかけるハリル。パチューカでコンディションを上げて、もう一度スタメンの座を掴み取ってほしいね。写真:徳原隆元

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[W杯アジア最終予選]日本 2-0 オーストラリア/8月31日/埼玉スタジアム

 この試合を落としたら一大事になるという追い込まれた状況下で、ハリルホジッチ監督は、これまでにない思い切った決断を下したね。本田圭佑や香川真司の「経験」に頼るのではなく、あくまでも「コンディション」を優先したメンバーをスタメンに選んだ。

 その選択が奏功して、オーストラリアにしっかり勝利を収められた。1998年のフランス大会から6大会連続となるワールドカップ出場を果たせたことには、素直におめでとうと言いたい。
 
 ただね……コンディション優先の人選なんて、とても基本的なことだよ。当たり前と言ってもいい。
 
 そして、今回はオーストラリア対策もハマった。しっかり守ってカウンターを狙うという意図が、メンバー構成や布陣からも感じ取れたね。

 一歩先の展開を読めるベテランの長谷部誠をアンカーに置き、若くて運動量のある井手口陽介と山口蛍がどんどん思い切ってボールを奪いにチャレンジに行く。その3ボランチが時間が経つごとに機能した。
 
 そして奪ったボールを最前線の大迫勇也に預けて、カウンターを狙う。序盤はボランチが相手と上手く噛み合わず押し込まれたり、マークを交わされてピンチを招いたりする場面もあったけど、前半の41分というとても理想的な時間帯に先制点を取れた。何よりアウェー戦である相手に与えたダメージは大きかった。
 
 加えて、その3ボランチから後ろの守備陣の集中力がとても高かった。昌子源、吉田麻也、それに酒井宏樹と長友佑都が90分間最後まで強いインパクトを保って、相手と対していたね。
 後半も相手が攻めてきた時間帯を凌ぎ、井手口の2点目が生まれた。

 終わってみれば、2-0の勝利。所属チームで試合に出ていない、またはコンディションが決して万全ではない……。そういった選手は呼ぶ必要がないと証明されたんじゃないかな。実際、この日は日本よりもオーストラリアの選手たちのほうが、体調面に問題を抱えているようだった。その差をしっかり結果に反映できた。
 
 改めて言うけど、彼らは日本代表――ナショナルチームなんだ。日本のトップに立つ、選手たちなんだ。所属先で先発としてフィットしていない選手は、絶対に呼ぶべきではないと思う。
 
 井出口をはじめ、浅野拓磨、乾貴士が先発に抜擢されたことが、今回のサプライズだった。でも乾は昨シーズンもフル稼働していたんだから、そういう時にチャンスを与えてほしかった。そのように「コンディション優先」にすべきだと早めに気付いていれば、もっと楽にこの最終予選を通過できていたとも思うよ。
 
 引き分けに終わった6月のイラク戦での失敗をうまく挽回できたよね。ハリルがずっと信頼して起用してきた本田が、もしも先発していたら、悪いほうに転んでいたかもしれなかった。でもその本田だって、力は十分ある。パチューカでこれから状態を上がればいいだけだ。それでハリルが本田を起用するのであれば、きっと誰もが認めるよ。
 
 それにJリーグの選手を見下してはならないと、ハリルはようやく気付いただろうね。
 
 あまり世間一般では認知度の高くなかった「ガンバ大阪の井手口陽介」の名前が一気に全国に広まった。このチャンスを生かしたね。Jリーグは評価されるべきだと、ハリルもいい勉強になっただろう。海外視察をすれば代表チームが強くなるわけではないと悟ったに違いない。
 
 日本だろうが、海外だろうが、まず試合に出ている選手であることが前提。そこは、これからもブレずに徹底してほしいよ。