乾貴士はオーストラリア戦で進化した姿を披露した【写真:Getty Images】

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 日本代表は31日、ロシアW杯アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦して2-0で勝利。来年のW杯出場権を獲得した。

 この試合では負傷明けのためコンディションに懸念のある本田圭佑と香川真司がベンチスタートとなった。今予選を通じて日本代表を支えてきた中心選手を外す思い切った決断を下したヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、命運を経験の少ない選手たちに托す。

 その中でも貢献が光ったのは、左ウィングで先発出場した乾貴士だった。これまでドリブラーとしてのイメージが強かった小柄なアタッカーは、スペインリーグで培った戦術スキルの高さを発揮して攻守に効果的なプレーを披露した。

 攻撃ではもともと武器としていたドリブルの仕掛けだけでなく、遠めからミドルシュートを放つなど前半から積極的な姿勢を見せる。ドリブルも単にタテに仕掛けるだけでなく味方のために時間を作るゆったりとしたものや、スペースを作るためのものなど、高い技術とともに多彩なパターンを使い分けていた。

 またボールのないところでの動きも怠らなかった。味方のためにスペースを作るランニングや、周りを動かすための細かいポジション調整でチームメイトを助ける。状況に応じた柔軟さを身につけていた。

 そして最も目立ったのが守備での貢献だ。前線から積極的にプレスをかける戦術のもと、乾は忠実にあたえられたミッションをこなした。それだけでなく複数の相手選手をけん制する中途半端なポジショニングや、無理のないコース取りでのプレッシング、自分のマークを捨てて前に出る判断など、これまで日本人選手が不得意にしていた守備における戦術的な動きの基本を徹底してプレーに落とし込んで、実践して見せた。

 エイバル移籍後、攻撃面だけでなく守備面でも高度な戦術スキルを身につけて成熟した選手になった乾。6月のイラク戦で出番がなかった悔しさを、今回のオーストラリア戦で晴らすことができただろうか。ゴールこそなかったが、6大会連続のW杯出場決定には乾の地道な貢献があったことを忘れてはならない。

text by 編集部