まずは犬が接種するワクチンについて知ろう

そもそもワクチンって何?

子犬は母親の胎内で抗体をもらって生まれてきます。さらに母乳からも抗体が与えられ、弱い子犬の身体は母親由来の抗体で守られています。
抗体は、空気中のウイルスや細菌などの病原性を失わせる働きをもつたんぱく質で、子犬はその抗体の9割以上を母犬の初乳から与えられるといいます。
しかしこの母親由来の抗体はいずれ減少していき、自力で作り出さないといけません。

抗体は、一度その細菌やウイルスに感染すると作られるものです。そのため自分の身体で抗体を作るためには、一度その細菌やウイルスに感染して病気にかからないといけません。
しかしそれってとても危険ですよね?命に関わるような事態になる恐れもあります。

そこで病気にならない程度の低い毒性の病原体や、死滅させた病原体をわざと体に入れることで特定の病気の抗体を作ろうとするのが「ワクチン」です。感染したら重篤な症状になる恐い病気に対して、事前に抗体を持ち免疫力を備えておくためのものです。

法律で毎年接種することが義務付けられている「狂犬病ワクチン」

狂犬病はすべての哺乳類が感染し、有効な治療方法が見つかっていない、必ず死に至ると言われている恐い病気です。日本では1957年以降国内での発症報告はありませんが、海外渡航先で犬に噛まれたことによる感染例(帰国後死亡)が数例報告されています。日本ではほとんど心配がないといわれている狂犬病ですが、アジアなどの諸外国では依然として狂犬病による死者が出ています。いつ国内に入って来るかわからない恐れがあるうえ、蔓延を防ぐためにも全頭接種がのぞまれます。
日本では生後91日齢以降のすべての犬に1年に1回狂犬病ワクチンの接種が義務付けられていますが、副作用がある犬などは猶予が認められています。

任意での接種「混合ワクチン」

混合ワクチンは、3種〜11種の病気に対する抗体を作るためのワクチンです。
犬ジステンバーや犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス感染症、ケンネルコフなど、どの病気も感染して発症すると、有効な治療法がなかったり、重篤な事態になったり、致死率の高い病気に対応したものになっています。
感染が心配な病気によって組み合わされ、1種、3種、5種、6種、7種、8種、11種とさまざまな組み合わせのワクチンがあります。

どの種類のワクチンを接種したら良いかは、犬の生活環境やお住まいの地域によるでしょう。
犬同士の感染が原因のものや、ネズミなどが媒介するもの、野山で感染の恐れがあるものなど、犬のライフスタイルとお住まいの地域での病気感染率などを獣医に相談の上決めると良いと思います。

室内犬でも絶対必要なワクチン接種

室内犬でももちろん感染症の感染リスクがありますので、ワクチン接種がのぞまれます。

室内犬でも必要なコアワクチン

前述した混合ワクチンの中で、以下に挙げる感染症に対するワクチンは室内飼い・外飼いを問わずすべての犬に接種が勧められているワクチンで「コアワクチン」と呼ばれています。世界中で感染が認められている、死に至る可能性のある感染症から犬を守るためのワクチンです。
また接種が義務付けられている狂犬病ワクチンもこれに含まれます。

狂犬病ワクチンジステンバーウイルス感染症アデノウイルス2型パルボウイルス感染症

子犬のコアワクチン接種

母犬から譲り受けた抗体が弱まるのが月齢8〜9週目。体力のない子犬は、感染力の強い病原体に感染して病気を発症すると重篤な状態に陥る危険があります。そのため、この時期に1回目のワクチン接種が行われます。
その3〜4週後に、再度ワクチン接種を行います。3回目は14〜16週で行います。減少する時期に個体差があるためです。数回に分けてワクチン接種が行われるのは、子犬が母犬から受け継いだ抗体が体内に残っている状態だと、ワクチン接種による抗体作成が充分に行われないためです。また、抗体が減少する時期が予想出来ないため数回に分けて行われます。

子犬のワクチン接種の最後は、3回目のワクチンから1年後。追加接種により免疫をより強化するために行います。これで、子犬期のワクチン接種がようやく完了します。

混合ワクチンは毎年接種したほうがいい?

日本では1年に1回の接種が推奨されていますが、世界的に見ると3年に1回、種類によっては5年に1回とされているところもあるようです。
健康のためのワクチン接種ですが、副作用の恐れがあるため、実際にこの毎年接種することへの賛否は声高に言われているところです。

追加接種の必要は、血液中の抗体検査で判断することも可能です。
抗体がどれくらいの期間体内で作られているかは個体差がかなりあるようなので、一概に1年・3年などと言い切れないようです。

もし副作用が心配なので出来るだけワクチン接種は控えたい、という方は愛犬の血液中の抗体検査を行って、足りないものを補填するような形を取ってもよいかもしれません。
いずれにせよ感染したら恐ろしい病気ですので、ワクチン接種の副作用と病気感染のリスクとどちらが良いか検討する必要がありそうです。

尚、狂犬病ワクチンは日本で犬を飼育する以上義務となっています。(健康上の問題がある場合は申し出れば猶予が認められています。)

まとめ

愛犬の健康を守るためのワクチン接種ですが、副作用があるかもと思うと尻込みしてしまう気持ちもあります。うちの場合は使用しているドッグランの規定で、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの1年以内の接種証明を出す必要があるため毎年受けていますが、先代の犬は一度混合ワクチン接種後に体調を崩したことがあり、老齢になってからは接種を控えていました。
しかし老齢になってからこそ感染症になると体力がないため心配です。ワクチン接種に関して心配な方は、獣医さんに相談を仰ぎながら慎重に検討したい内容ですね。


(獣医師監修:加藤桂子先生)