映画館のイメージ。(画像:いらすとや)

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 動画配信のU-NEXTは、10月7日劇場公開となる作品『あゝ、荒野』を、先行して9月29日からネットで先行公開する。映画館の集客に与える実際の効果などを検証することが狙いだ。

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 映画館、というものの衰退が伝えられて久しい。一般にその一因として挙げられるのは、インターネットによる動画視聴の普及である。

 統計データを見ると、日本の映画産業の最盛期は1958年、この年、映画館数、入場者数、いずれもピークを記録している。ちなみに黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』が公開された年である。そこから先で急落が起こり、日本の映画産業はずっと横ばいの状態が続いている。

 ここ数年の映画館入場者数推移を見ると、実は2011年に底を打った後は微増傾向にあるのではあるが、いずれにせよ、インターネット動画配信は今後も産業として伸び続けていくことが予測されるし、「先行公開」が映画館の強みであることから、今回のような試みは特に注目に値するといえよう。

 『あゝ、荒野』は、1966年に寺山修司によって執筆された、同氏による唯一の長編小説作品を原作とする。岸善幸監督、菅田将暉主演で、この10月に前後2部作で公開予定となっている。前編が10月7日、後編が10月21日の公開である。現時点で、全国37の映画館での上映が予定されている。

 U-NEXTは、この映画の制作委員会の1社として名を連ねている。この作品をきっかけにU-NEXTが新規顧客を獲得した場合、同社は制作委員会に対して一定額の対価を支払うことになっている。

 9月29日から行われるネット公開では、劇場公開版ではカットされるシーンなども含めた、完全版の公開が行われる予定である。松竹系などの映画館、DVDの販売会社もこの実験に協力する形となっている。

 果たして、「映画館」という業態は、21世紀という時代にあってどのような動向を辿っていくことになるのであろうか。