かき氷屋さんの店長にして、話題のバンド「ねこね、こねこね。」のメンバーという異色のプロフィールを持つ、むらまつえりかさん。前回の『つみきのいえ』に続く、3つめの“オール・タイム・フェイバリット”は鬼才・松本大洋氏の名作『鉄コン筋クリート』です!

むらまつえりかさん

ロックバンド「ねこね、こねこね。」のボーカル&ギター、そしてかき氷店「瀬戸内ひだまりかき氷」店長。ねこね、こねこね。は、7月にリリースしたシングル「ことばの海」が好評発売中。「瀬戸内ひだまりかき氷」では瀬戸内の素材を使った、パティシエ手作りの天然蜜たっぷりのかき氷が味わえます。

映画館に3回も通った理由

むらまつえりか:『鉄コン筋クリート』はアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)繋がりで知りました。原作のことは知らなかったんですけど、アジカンが主題歌(「或る街の群青」)になったって聞いて興味を持って。

たしか、それまでアジカンは映画とかの主題歌をやったことがなかったんです。で、主題歌を聴きたいがために3回くらい映画館に通って(笑)。

観る前にもちろん原作を読んでから観たんですけど、映画自体もすごく好きになりました。

クセになる独特の“怖さ”

 ――『鉄コン筋クリート』のどういった部分に惹かれました?

むらまつ:絵的にはちょっとふざけた感じに見えますけど、独特な暗さと、あと、怖さがあって…。そのちょっとダークなところが癖になるというか、すごく惹きつけられますね。だからといって怖いだけじゃなくて、温かみと、優しさも感じる物語で――。

クロとシロとか、それぞれのキャラクターの性格がユニークで、作品全体の色味とか色彩も全部私好みなんです。このアニメーションを制作したSTUDIO 4℃の作品はいろいろ観てますね。

 ――もともとアニメーションは好きだったんですか?

むらまつ:そこまで詳しくないんですけど、アニメーションへの興味はありました。

ねこね、こねこね。はメンバー全員、芸術学部出身なんですけど、私はグラフィックデザインを専攻していて。卒業制作は、映像の授業も取っていたので子ども向けのアニメーションを作ったんです。数字とか色を覚えるためのアニメーション。そのBGMとして簡単なコードで曲を作ったらメンバーがおもしろがってくれて、曲を作るようになって。

 ――映像を作る過程で、図らずも音楽家としての才能が開けたというか。

むらまつ:本当に簡単な曲なので、「えっ、これをバンドでやるの!?」みたいな感じでビックリしたんですけど(笑)。でも、『鉄コン筋クリート』には今も影響されていると思います。

中学3年生くらいの時に、たしか発売がクリスマス前だったので、その時のクリスマスプレゼントはモノじゃなくてお金が良いって言って、自分のおこづかいと足して買いに行ったことをよく覚えてます。もう10年くらい前かと思うと、ちょっとゾッとしちゃいますね…(笑)。

お店の顔ハメ看板越しに語ってくれたむらまつさん(笑)

鉄コン筋クリート

〜あらすじ〜

義理と人情とヤクザの“地獄”の町(宝町)。2人の孤児、クロとシロのたったひとつの住処。しかしそこへ開発という名の地上げ、ヤクザ、暴力、実態のわからぬ“子供の城”建設プロジェクト、不気味な3人組の殺し屋の影、そして「ヘビ」と呼ばれる男が現れ、町は不穏な空気に包まれる。宝町が動くとき、2人の運命も大きく揺り動かされる――。

次回につづきます。前回のフェイバリットはこちら!