吉祥寺での保育園開園が延期された(写真はイメージ)

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東京・武蔵野市は吉祥寺に開園予定だった保育園の「開園延期」を決定した。住民の反対があり、理解を得るには時間が必要と判断したためだという。

保育施設の新設にともなう住民トラブルは、近年たびたび問題になっている。今回の武蔵野市の件も、反対の理由のひとつが「園児の声」などと報じられたこともあって議論を呼び、インターネット上でも茂木健一郎氏や為末大氏らも意見を表明するなど、物議を醸している。

園児の声や、通園時間帯の通行に懸念の声

武蔵野市は2017年8月21日の文教委員会で、18年4月に同市吉祥寺南町で開園を目指していた認可保育園について、近隣住民との合意形成にいたらず、開園を延期すると発表した。

各メディア報道などによると、保育園は閑静な住宅街にある約1400平方メートルの市有地での整備を予定している。近隣住民からは保育園の園児の声や、通園時間帯の通行に懸念が示されている。市は16年11月以降、住民説明会や戸別訪問を繰り返してきたが、合意を得るには時間がかかると判断した。読売新聞(ウェブ版、17年8月30日)では「園児の声がうるさい」との意見もあったとしている。

同市はここ数年、毎年保育施設を複数開設して受け入れ人数を200〜300人ずつ増やしている。それでも4月1日時点で120人の待機児童を抱えている。

吉祥寺は、住宅情報サイトの「住みたい街ランキング」で関東圏1位の支持を得たこともある人気の街。今回の保育園の開園延期は、ツイッターやネット掲示板上での注目度も高い。

「子供ってお互い張り合って騒ぐからな それが日常になると近隣の住民はキツいよな」
「一度出来たらほとんど永久的に悩み続けることになる そら持ち家の奴は必死になるわ」
「住宅街の中に建てるのやめろよ 今までずっと問題になってるんだからわかるだろ」

このように、近隣住民に同情する声は少なくなく、「騒音施設なのは間違いないからな 防音壁の設置と、お迎えの路駐対策は義務付けるべき」と、具体的な対応方法に触れる書き込みもある。

「延期であって白紙撤回ではなく、継続中の計画」

一方で、反対する住民側に疑問を感じるユーザーもいる。

「ほんと恐ろしいな 子供が育たない国」
「待機児童問題は解決しない」
「近所に保育園あるけど、そんな気にするほどうるさくない」

脳科学者の茂木健一郎氏は30日、「『園児の声うるさい』という人たちの自己主張の方がよほど『うるさい』と感じるのは私だけでしょうか。。。」と皮肉を込めてツイートした。

元陸上選手で、現在スポーツコメンテーターなどで活動する為末大氏もツイッターで30日、「園児の声は無条件で騒音とはみなさないという条例作ってくれたら引っ越すのに」と、騒音扱いする考え方に反論するような発言をしている。

また、実業家で慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は24日のツイッターで、「保育園は迷惑施設ではない。お迎えや通園が騒音と言うのなら地方の田舎に住めばいい」と不満を露わにした。

J-CASTニュースが31日、武蔵野市に取材を申し込んだところ「延期であって白紙撤回ではなく、継続中の計画ですので、現時点では詳細について話すことができません」との回答だった。

同市では2016年9月にも保育所開設をめぐるトラブルがあった。認可保育所の開設を吉祥寺東町で予定していたが、近隣住民の反対などから、こちらは延期ではなく計画が撤回されていた。