撮影:高橋邦典

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 「○○が迷子になってます。家族の方は迷子ブースに迎えに来てください」

 会場のスピーカーから、ひっきりなしに大音量の放送が流される。
クンブメラの大変な混雑のなかでは、迷子が絶えることがない。町から出たことのないような田舎の人たちが、突然何百万という群衆の中に投げ込まれるのだから、右も左も分からなくなるのは当然のことではある。はぐれないように、汽車ごっこの如く連なって歩くグループもあるが、どこもかしこも通勤ラッシュ時の新宿駅状態になっているから、子どもに限らず、大人もすぐに迷子になる。

 2013年に開かれたアラハバードのクンブメラでは、迷子センターのお世話になった人の数はなんと一日2万人。ほとんどは遅くとも数日経てば家族との再会を果たすが、時にはいつになっても残されたままになることもある。住んでいる村が分かれば、電車やバスに乗せて送り返されるが、記憶の曖昧な老人など、家族があえて届け出を出さなければ、そのまま生き別れだ。

 昔、口減らしのために日本にもあったといわれる姥捨山と同じく、厄介者になった老人が見捨てられるわけだ。稀ではあるが、そんな悲しいケースもあるようだ。

 2013年2月/2010年1月撮影

(写真・文:高橋邦典)

※この記事はフォトジャーナル<世界最大の宗教祭典クンブメラ>- 高橋邦典 第49回」の一部を抜粋したものです。