昨年販売された北朝鮮のスマートフォン、アリラン151とコリョリンクのSIMカード(画像:デイリーNK)

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北朝鮮で普及が進むスマートフォンが、さらなる監視体制の強化をもたらしているとする報告書が発表された。

この報告書は、韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が25日に発表した「北朝鮮国内の携帯電話の利用現況」。米国の国際マーケティンググループ「We are social」とカナダのIT企業「Hootsuite」の資料を引用し、2017年3月の時点で、北朝鮮の携帯電話加入者数が370万人を超え、普及率は約15%に達したと指摘している。

「2台持ち」も

一方で、平壌での普及率は7割に達するが、それ以外の地域では1割に満たないと指摘し、その理由として平壌と地方との激しい経済格差を挙げている。

ちなみに韓国メディアによると、同国の情報機関である国家情報院のキム・サンギュン第3局次長は先月31日に開かれた国会情報委員会懇談会の席で、現在、北朝鮮で使われている携帯電話の数は470万台と述べている。370万人と470万台では相当な開きがあるが、普及が進んでいることには違いない。

KOTRAの報告書は、経済的に余裕のある平壌の大学生などの間で複数台の携帯電話を持つケースも増えていると説明している。1ヶ月の通話時間が200分に制限されているため、それを潜り抜けるための裏ワザということだ。

携帯電話の利用者の増加は、北朝鮮当局が国民の通信を監視する上で大きな力となっていると報告書は指摘している。

今年3月に米政府が発表した報告書によると、海外コンテンツの流入を防ごうと努力を重ねている北朝鮮政府は、IT技術のおかげで効果的な統制手段を確保したと指摘している。当局は2014年にすべての携帯電話のソフトウェアを更新し、許可のないファイルを再生できないようにロックを掛けた。また、SDカードの閲覧履歴を記録するソフトもインストールさせた。

北朝鮮で携帯電話事業を行っているエジプトのオラスコム社の技術者として、2011年から2年間平壌に駐在していたアフマド・エル・ノアマニ氏は、2015年8月に米国の北朝鮮専門ニュースサイト「NKニュース」とのインタビューで、北朝鮮が携帯電話の監視に使用しているシステムは特別なものではなく、欧米や中東でも普通に使われているものだと語っている。

アフマド氏が平壌に滞在していた当時はガラケー(フィーチャーフォン)が一般的で、監視システムはさほど進んでいなかったが、報告書通りならそれがこの4年で飛躍的に向上したということだ。