日立巡業で地元のファンに囲まれる稀勢の里(写真・時事通信フォト)

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 今年の大相撲3月場所で稀勢の里が横綱に昇進。4横綱時代が幕開けした。しかし、それからの3場所、15日間を通じて4横綱が土俵に揃い踏みしたことはない。新参の稀勢の里は、土俵へ上がる責任感を最も強く感じているといわれる。

 そんな稀勢の里に対して、7月場所後の横綱審議委員会の会合では「体が万全になるまで休むべき」という意見が出た。中でも北村正任委員長は「しっかりケガを治して万全で(9月場所には)出てきてほしい。そうならなければ休んでいい」と、異例の“全休容認”まで明言した。

 問題は、当の稀勢の里が耳を貸すかどうかだ。

「7月場所前にも同様の“休場勧告”をしたにもかかわらず、稀勢の里は強行出場を決めてしまった。日本人横綱をみんなで守ろうとしているのにと、横審はカンカン。今度も同じ失敗を繰り返せば、もう守り切れない」(担当記者)

 稀勢の里の師匠・田子ノ浦親方はこれまで「稀勢の里の意思を重視する」という姿勢だったが、今回ばかりは休場を強く勧めているという。

「回復が遅れている左胸から上腕にかけての負傷については、後援者を通じて、形成外科の名医からカリスマ整体師、霊媒師のような人に至るまで紹介されている。その中から試した治療法も大した効果は上がっておらず八方塞がり状態。部屋には暗鬱な空気がたちこめている」(後援会関係者)

 そうした状況下で、「夏巡業への参加は9月場所休場の決断を難しくする」との見方は根強い。

 9月場所ではカド番を迎える照ノ富士、豪栄道の2大関が必死で立ち向かってくる。三役には御嶽海、嘉風、玉鷲、栃煌山が控え、幕内上位にもイキのいいガチンコ力士たちがひしめく。8月の巡業を膝の治療で“早退”した白鵬も万全の体調で初日を迎えるだろう。その中へケガを抱えたまま突っ込んでいくとしたら……19年ぶりの日本人横綱に“引退”の2文字がチラついてもおかしくない。

※週刊ポスト2017年9月8日号