肉を使わないバーガーの「NLB」、ホールフーズと提携で事業拡大へ

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米オレゴン州のベンドに第一号店をオープンし、大人気となっている「ネクストレベル・バーガー(NLB)」は、インポッシブルバーガー(Impossible Burger)と同様、肉を一切使用しない。ベジタリアン(菜食主義者)だけでなく、ビーガン(完全菜食主義者)にも楽しんでもらうことができるバーガーを販売している。NLBはまた、「インアンドアウト(In-N-Out)」と同様、注文を受けてからバーガーを用意、提供する。

創業者のマット・ドゥグロイターと、ともに事業を立ち上げた妻のシエラはいずれも料理のプロではなく、開業前には実質的に、料理に関する何の知識も持ち合わせていなかった。元海兵隊員のマットは、除隊後は石油・ガス探査会社の投資部門で働き、その後は証券会社に転職した。

そのマットはあるとき、出張から自宅に戻り、ふと生活を変えようと決意した。そして、夫婦はシエラが育ったオレゴン州でベジタリアン・レストランを始めようと計画。レシピの開発に乗り出した。コンサルタントには頼らず、二人で試行錯誤を繰り返した。

実はマットは、もともと肉料理が大好きだった(シエラはずっとビーガンだ)。だが、肉好きの自分の食生活を支える(畜産の)ために必要な水の量を計算してみると、プールいっぱいに張った水が1週間でなくなってしまうことが分かった。そこで、食生活をベジタリアンに転向。すると2週間もたたないうちに、菜食主義の考え方にすっかり夢中になったという。

マットは、誰でも健康的に暮らしたいのだと語る。「10年前には、食べる赤身の肉の量を減らしたいと考える米国人は3割程度だった。だが、今では6割以上に増えている」

また、環境保護のための意識ある選択に有用な情報を提供する「ワングリーンプラネット(One Green Planet)」によれば、外食するときには肉を使った料理を注文しないという米国人は、3割を超えている。

最適のタイミングで参入

NLBの開業当初からの顧客には、立ち上げから間もなかったツイッターのビジネスに貢献したアレックス・ペインがいた。同社を退職後オレゴンに戻っていたペインはNLBのバーガーを非常に気に入り、同社事業への出資を決めた。

NLBは現在、すでに4店舗を開設しており、うち2店舗は先ごろアマゾンに買収された自然食品スーパーマーケット・チェーン、ホールフーズの店内に入居する。米国内におよそ450店舗を持つホールフーズとの提携は、NLBの全米展開に向けた足掛かりともなり得る。今後のさらなる事業拡大を目指すマットは、10年後には1000店舗を擁する規模のチェーンを築くことを思い描いているという。

ただし、その実現に向けた道のりは長い。「インアンドアウト」はすでに325店舗、ハンバーガーレストランの「シェイクシャック(Shake Shack)」も150店舗近くを開業している。そして、「インポッシブルバーガー」を運営するインポッシブルフーズは株式非公開企業のため業績を公表していないものの、グーグル・ベンチャーズやビル・ゲイツなど多くの投資家から数百万ドルを調達しており、メディアの関心も高い。インポッシブルフーズは2011年、スタンフォード大学の生化学者パトリック・ブラウンが創業した。

NLBにとって、ホールフーズとの関係が重要であることは言うまでもない。ホールフーズは自らを米国で最も健康的な食料品店と位置付け、食品には人工的な原料を使用しないという基本理念を共有してくれるサプライヤーを求めている。そして、アマゾンがホールフーズの買収に動いた背景には、その忠実な顧客たちの存在がある。

米国では現在、「ミートレス(肉不使用)」という言葉が盛んに使われている。NLBはまさに最適のタイミングで、野菜を使った代替食品の関連市場に参入したといえるだろう。非営利団体インスティテュート・オブ・フード・テクノロジー(IFT)によると、少なくとも週に1日は肉を食べないことにしているという米国人は、38%に上るという。