前回のオーストラリア戦ではセットプレーからフリーでシュートを打たれる場面があった【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

日本の守備の最重要テーマ。セットプレーをいかに封じるか

 いよいよ来年のロシアW杯出場権獲得をかけた大一番の日がやってきた。日本代表は31日、ロシアW杯アジア最終予選でオーストラリア代表と相まみえる。アウェイで行われた前回の対戦は1-1のドローに終わったが、そこで重要性を突きつけられたのはセットプレーの守備だった。屈強な巨人揃いのオーストラリアの得点源を封じなければ、日本のW杯行きは闇へと消えていく。(取材・文:河治良幸)

--

 アジア最終予選も残すところ2試合。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表はホームにオーストラリア代表を迎える。勝てば来年行われるロシアW杯への出場が決まる大一番だ。

 攻守両面でいくつか勝負のポイントが挙げられる試合だが、守備の最重要テーマにあげられるのがセットプレーだ。「(最終予選でオーストラリアがあげた)14得点中、CKから5つ、PKが3つ。得点の6割がセットプレーだ。彼らの長所であるセットプレーを阻止する必要がある」とハリルホジッチ監督もかなり警戒しており、短い準備時間でも周到に確認して試合に臨むはずだ。

 セットプレーから失点しないためにはそうしたチャンスを与えないという方法もある。高い位置でボールを奪う、攻撃はシュートで終わる、自陣の深い位置で無駄なファウルをしないといった1つひとつのケアが相手のセットプレーの減少につながる。しかし、その数を減らすことはできてもゼロにするのは不可能に近い。

 オーストラリアのセットプレーが脅威であることは間違いない。とはいえアウェイに乗り込んだ昨年10月の試合ではPKから同点ゴールを許してしまったものの、何度かあった相手のCKや間接的なFKからは失点せずに試合を終えた。その時の平均身長は日本が179.5cmでオーストラリアは184.6cmあった。

ミスマッチはやむなし。いかに集中して連携を図るか

 その中で後半42分のFKはゴール前にボールが入ってくる前の混戦で長谷部誠が転倒し、彼のマーク担当だったマシュー・スピラノビッチにフリーで危ないシュートを打たれたシーンはあった。しかし、全体的には粘り強く対応し、身長差も致命傷にはならなかった。その試合でのマッチアップは下記の通りだ。

【キッカー】
アーロン・ムーイ

【ターゲットvsマーク】
ライアン・マクゴーワン(185cm) vs 槙野智章(182cm)
トレント・セインズバリー(183cm) vs 本田圭佑(182cm)
トミ・ユーリッチ(189cm) vs 森重真人(183cm)
マイル・ジェディナク(188cm) vs 吉田麻也(189cm)
アポストロス・ヤヌ(185cm) vs 酒井高徳(176cm)
マシュー・スピラノビッチ(188cm) vs 長谷部誠(180cm)

【ミドルレンジ】
トム・ロギッチ(188cm)vs 山口蛍(173cm)

【ストーンorフリーマン】(特定のマークにつかずボールを跳ね返す役割)
小林悠(177cm)
原口元気(177cm)

【壁】
香川真司(175cm)

【GK】
西川周作(183cm)

 ご覧の通り、ターゲットとマーカーの関係で辛うじて身長が上回っていたのはジェディナクと吉田のところだけで、スピラノビッチと長谷部は8cm、ヤヌと酒井高徳も9cmの差があった。また見た目でわかる通り、体格的にもオーストラリアの方が上回る。それでも日本の選手たちは粘り強く体を寄せてムーイが右足で蹴ってくるボールに合わさせず、ニアサイドやポール際は小林と原口が柔軟に対応。背後のスペースはGKの西川がカバーしていた。

 さらに危険だったのが、オーストラリアがティム・ケーヒル(180cm)、マシュー・レッキー(181cm)、ロビー・クルーズ(179cm)と攻撃的な選手を投入してから。一方の日本は小林に代えて清武弘嗣(172cm)、本田に代えて浅野拓磨(173cm)が入り、特に清武が9cmも高いレッキーのマークにつかなければいけない場面が生じた。

 そこでハリルホジッチ監督は後半アディショナルタイムに183cmのDF丸山祐市を原口に代えてサイドハーフに投入する“奇策”でラスト数分を1-1の同点のまま耐え抜いた。

セットプレー対策をスタメン選びの基準にすると…?

 さて[3-4-3]を採用する今回のオーストラリアはおおよそ下記のスタメンが予想される。

▽GK
マシュー・ライアン(184cm)

▽DF
ミロシュ・デゲネク(187cm)
トレント・セインズバリー(183cm)
ベイリー・ライト(184cm)

▽MF
マシュー・レッキー(181cm)
マーク・ミリガン(178cm)
アーロン・ムーイ(175cm)
ブラッド・スミス(176cm)

▽FW
トム・ロギッチ(188cm)
ロビー・クルーズ(179cm)
トミ・ユーリッチ(189cm)

 ジェディナクが怪我で欠場するが、厄介なのは空中戦に強いCBが3人に増えていることだ。セットプレーのターゲットマンはデゲネク、セインズバリー、ライト、レッキー、ミリガン、ユーリッチの6人で、ミドルレンジからロギッチとクルーズが飛び込む陣容になることが予想される。もちろん終盤にはケーヒルをはじめ、ジャクソン・アーヴァインなど、空中戦に強い選手が投入される可能性が高い。

 日本は前回の出場メンバーから森重、小林悠、清武、丸山が外れた代わりにDFは昌子源(182cm)や植田直通(186cm)、三浦弦太(183cm)が加わり、怪我でアウェイでのオーストラリア戦を欠場した酒井宏樹(183cm)もいる。さらに高萩洋次郎(183cm)、小林祐希(182cm)といったターゲットマンのマークも可能な長身のMFが加わり、FWの主力に大迫勇也(182cm)が定着。杉本健勇(187cm)も投入されれば、セットプレーの攻撃はもちろん、守備の方でも頼りになる。

「オーストラリアはセットプレーが強いですし、点も取っています。ただ、セレッソでも自分も戻っていますし、そういうところでも貢献できたらと思います」

 そう語る杉本をはじめターゲットのマークに指名される選手はもちろん、ストーンの役割を担う選手も強い覚悟で臨むはずだ。吉田、昌子、大迫、酒井宏樹、長谷部…現時点でスタメンが誰になるかは不明だが、相手のターゲットに対して基本的にマーカーとして競り合いに参加する6人が足りているか、ストーンとして誰が貢献できそうか。そうしたイメージを含めてスタメンを予想すると、また違った構成が見えてくるかもしれない。

 とにかくセットプレーからの失点は流れでしっかりと相手を抑えているほど、チームのリズムにも悪い影響を及ぼしやすい。なるべく安易なCKや深い位置でのFKを与えず、そうした場面になっても焦らずにマークを確認し、目の前の相手を離さない。また簡単なクリアミスから二次攻撃を許さないこと。そうした1つひとつを積み重ねながら攻撃のチャンスをものにし、是が非でもホームでW杯本大会出場の切符を手繰り寄せてもらいたい。

(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸