いまから20年前のきょう、1997年8月31日、イギリスの元皇太子妃ダイアナ(称号はプリンセス・オブ・ウェールズ。当時36歳)が、フランス・パリで、乗っていた自動車が事故を起こし死亡した。このとき、エジプト人の映画プロデューサーで、ダイアナ元妃の恋人ドディ・アルファイドが同乗しており、車は2人を追うパパラッチを振り切るため猛スピードで走行中、アルマ橋トンネルの柱に激突、元妃とともにアルファイドと運転手(事故後の調査で、運転前に飲酒していたことがわかった)も命を落としている。

 スペンサー伯爵家に生まれたダイアナ元妃は、1981年、20歳になった直後にチャールズ皇太子と結婚、その後2人の王子を儲けた。だが、皇太子の愛人問題などからしだいに夫妻の不和が進行、92年より別居を始め、事故の1年前の96年8月には離婚成立にいたる。この間、ダイアナも自身の不倫を告白するなど、スキャンダルが絶えず、始終マスコミから追いかけられていた。悲劇はそのなかで起こった。


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 事故後、イギリス王室は十分な対応をとらず、国民から批判の声が高まったため、9月5日にはエリザベス女王が異例の声明を発表した。葬儀はその翌日、ウェストミンスター寺院にて行なわれ、約2000人が参列、テレビを通じ世界中で約25億の人々が見守った。このとき歌手のエルトン・ジョンが歌った「キャンドル・イン・ザ・ウインド」はCD化され、世界で3300万枚を売り上げる大ヒットとなる。

 葬儀には、元妃の遺児であるウィリアム(当時15歳)とヘンリー(当時12歳)の両王子も参列した。ヘンリー王子は今年、母の没後20年を前に、「母親が死んじゃって、そのひつぎに従って長々と歩かされた。周りで数千人が僕を見ていて、それをさらに数百万人がテレビで見ていた」と当時を振り返り、「どんな状況であれ、子供にあんなことをさせちゃいけない」と、つらかった心境を打ち明けている(『ニューズウィーク日本版』2017年7月4日号)。


没後10年の2007年、追悼コンサートであいさつする長男ウィリアム王子(左)と次男ヘンリー王子 ©ロイター=共同

(近藤 正高)