日本では、北朝鮮からミサイルが飛来する事態に備えて、避難訓練が全国の11ヶ所で行われた。野原に身を伏せたり、土管に隠れたりして真面目に訓練に取り組む人々の画像は、海外メディアを通じて世界中に配信された。

「役に立たない」

ただ、実効性に首をかしげる人も少なくない。熊本県上天草市では24日に訓練が行われたが、翌日付の西日本新聞は「戦時中の竹槍訓練のようでばかげている」という市民の反応を伝えている。

ミサイルを撃つ側の北朝鮮でも、米韓からの攻撃を想定した反航空(防空)訓練が行われているが、真面目に参加する人は少ないと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が軍紀びん乱の極みにあるかの国は、戦争に臨めるような状態にはないのだが、庶民もまた、すっかり緊張がゆるんでいるもようだ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

韓国も同じ

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、北朝鮮当局は8月初めに「戦争勃発の危機に備えた準備の一環として、反航空避難訓練に臨め」との指示を下した。それに従って各地方政府は、訓練を実施した。

内容は、人々が所属する職場や団体ごとに防空壕や避難場所を指定し、そこへ迅速に移動するというものだ。最大の特徴は、訓練時間が午前5時から午後7時までの14時間と、超ロングランであることだ。それでも昨年までの1泊2日と比べれば、かなり短くなった。

訓練の指示が直前になって出されたため、日々の糧を得るための商売に忙しい庶民の間からは「いきなりそんなことを言われても困る」などと言った不満の声が上がった。また、当局は非常用食料や医薬品を提供せず「各自調達せよ」との指示を出したため、経済的に余裕のない人々にとってはかなりの負担になっていると情報筋は伝えた。

一方、両江道(リャンガンド)の情報筋は、多くの人がまともに訓練に参加していないと話している。

この情報筋は、恵山(ヘサン)で行われた防空訓練に参加したという。指定された避難場所に向かったが、いっしょに行動していた人々が一斉に山に向かってしまい、集合するはずがバラバラになってしまった。移動の途中、山にカネになる薬草が生えているのを見つけたためだ。人々は薬草摘みに夢中になり、訓練も何もなかったという。

また、経済的に余裕のある人々は、周りの目を気にすることなく、野外での焼肉パーティを楽しんでいたという。さらには、ゴロゴロして休息を取る人もいたようだ。

これでは「こんなことをして何の役に立つのか」(恵山市民)という声が上がるのも当然だ。

不真面目さにおいては、韓国も似たり寄ったりだ。

韓国メディアのアジア経済によると、23日の午後2時から20分間、全国で一斉に民防衛(防空)訓練が行われ、空襲警報が街に鳴り響いた。これが鳴ると車は停止しなければならないことになっているのだが、交通警官に制止されるまで止まる車はなかった。また、歩行者に対しては地下道に避難するよう呼びかけられたが、無視して歩きつづける人が多かった。

このような訓練は年に1〜2回行われるが、不真面目な市民に対する批判報道は、韓国メディアの1990年代からの定番ネタだ。真面目に取り組んでいるのは、日本人だけなのかもしれない。