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日本弁護士連合会は8月30日、横浜市鶴見区で1988年に発生した強盗殺人事件、通称「鶴見事件」で死刑が確定している高橋和利死刑囚(83歳)について、再審請求支援を決定したと発表した。決定は8月25日付。

この事件は、いまから約29年前の1988年6月、金融業と不動産業を営む男性と内縁の妻が、その事務所でバールのような凶器で殺害されて、現金1200万円が奪われたというものだ。

高橋死刑囚は1988年7月、強盗殺人の罪で逮捕されて、犯行を自白したが、裁判では一転して「2人を殺していない」と否認した。2006年に死刑が確定したあとも、再審(裁判のやり直し)を求めている。

●死刑囚は「本当にうれしい」と言葉をつまらせた

日弁連の人権擁護委員会は8月30日、東京・霞が関で記者会見を開いた。同委員の野嶋真人弁護士はこの日、東京拘置所に収監中の高橋死刑囚に面会してきたことを明かした。再審支援の決定を伝えたところ、高橋死刑囚は言葉をつまらせ、涙ながらに「本当にうれしいです」と話したという。

野嶋弁護士は「(高橋死刑囚は)83歳という高齢にしては、意外に元気だが、(判決確定後の)11年間、死刑囚として苦しんでいる。家族ともあまり面会できていない。釈放されたら、昔中学生のころにキャンプした島に行きたいと言っていた。元気なうちに釈放させたい」と述べた。

●2つの「新証拠」がポイントに

また、同委員の久保内浩嗣弁護士は、再審支援の決定に至った理由について、2つの「新証拠」がポイントになったと説明した。

1つは「凶器」についての疑問だ。確定判決では、高橋死刑囚の自白をもとに、被害者2人の致命傷となった下あごの損傷は、いずれもバールのような凶器で打撃されたものと認定された。また、被害者女性の背中にあった損傷は、プラスドライバーのような凶器で刺されたものとされた。

しかし、日弁連が新たに法医学教室に鑑定依頼したところ、「下あごの損傷はバールではできない」「背中の損傷はプラスドライバーではできない」という結果が出た。建物を壊すときなどに使われる「鳶口(とびくち)」が凶器だったと考えられるという。

もう1つは、「真犯人の可能性がある人物」が浮上したことだ。日弁連が、被害者遺族の代理人の保管記録を調べたところ、本来、事務所にあるはずの「小切手」が持ち去られていたことがわかった。小切手を持ち去る動機のあった人物が真犯人の可能性があるという。

(弁護士ドットコムニュース)