(左から)ダイアナ元英皇太子妃、ヘンリー王子、ウィリアム王子。英ロンドンで(1995年8月19日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】英国のダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)死去から31日でちょうど20年となる。これまで、公の場では沈黙を守ってきた息子のウィリアム王子(Prince William、35)とヘンリー王子(Prince Harry、32)だが、最近は20年前の事故死についてその胸の内を明かし、そして母のレガシーを守るべく動いている。

 ダイアナ元皇太子妃は1997年8月31日、仏パリ(Paris)で起きた自動車事故で死亡した。事故当時、ウィリアム王子は15歳、ヘンリー王子は12歳とまだあどけなさの残る少年だった。

 母親の死の影響がどれだけ深いものだったのかを2人が語り始めたのはつい最近になってからだ。その内容は、母親自身やその人生について、さらには元妃が掲げた理念、そして2人への影響など多岐にわたる。

 ウィリアム王子は、「20年が経過して、自分もヘンリーも、母についてもう少し話すのにはいいタイミングだと感じている。今後、母についてこのように率直に、あるいは公式に語ることはないと思う」と語っている。

 2人は今年、英国のテレビ局ITVが放送した90分番組「ダイアナ、私たちの母:彼女の人生と伝説(Diana, Our mother: her Life and Legacy)」に出演。その中でヘンリー王子は、「僕たちが彼女のことを母親として語るのはこれが初めてだ。このことに触れるのは、これまで少しきつかった。これは間違いない。今もそう」と語った。

 最近になってヘンリー王子は、抑えていた感情との折り合いで苦しみ、ここ数年はカウンセリングなどを通じて救いを求めてきたことを打ち明けている。

■「残像」に悩まされた王室

 ヘンリー王子は、少し前の米誌ニューズウィーク(Newsweek)とのインタビューで、母親であるダイアナ元皇太子妃の葬儀でひつぎの後ろを歩き、大勢の人目にさらされたことがとても苦痛だったと当時について語った。「どんな状況であっても、子どもにあのようなことをさせるべきではない。今は、もう同じようなことは起きないと思う」

 当時、英王室に配慮が欠けているとして多くの英国人から怒りの声が上った。また一部からは、ダイアナ元皇太子妃が公の場において「交代」したことを王室が喜んでいるようにも感じらるとの批判的な意見が出た。

 ダイアナ元皇太子妃の私設秘書だったパトリック・ジェプソン(Patrick Jephson)氏は、元妃が死去した後の一時期、王室はその「残像」に悩まされ、元妃の存在そのものを否定するかのように振舞っていたと話す。

「この20年間の大半において、彼女は王室関係者の間で名前を口にしてはいけない存在だった」「だから子どもたち(ウィリアム王子とヘンリー王子)は声を上げた。『それは違う、たくさんの良い思い出がある。彼女の人生を称えよう』と言わんばかりの行動は、彼らのささやかな反抗心と決意の表れだった」

 ウィリアム王子とヘンリー王子の2人はケンジントン宮殿(Kensington Palace)に設置するため、ダイアナ元妃の像の制作を依頼した。同宮殿には元妃のために作られた庭園もある。現在、ここにはウィリアム王子夫妻が居住しており、ダイアナ元妃も生前ここで暮らしていた。

■元妃の最大のレガシーは息子たち

 ウィリアム王子とヘンリー王子の公務の中には、母親から引き継いだ活動、そして理念を見ることができる。

 ダイアナ元妃は生前、地雷廃絶問題に熱心に取り組み、アンゴラの地雷原を視察するなどして廃絶運動に弾みをつけた。他方で、後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)患者と握手をし、エイズに関する人々の誤った認識を正すことにも貢献した。

 母のこれらのレガシーを引き継ぐかのように、ヘンリー王子は地雷除去やHIV検査推進活動に力を入れ、ウィリアム王子もホームレスのためのシェルター設置や、死別を経験した子どもたちをサポートするカウンセリング活動を行っている。

 2人が共同で取り組んでいるメンタルヘルスに関する啓蒙(けいもう)活動も母が掲げた理念に端を発するものだ。

 ヘンリー王子はまた、母が生きていたら今何をしていただろうと2人で考えることがあると述べ、「ウィリアムと僕は、母が生きていたらと願わない日はない。僕たちは、生きていたらどんな母になっていただろうとか、どんな社会活動をして、何が変わっていたのだろう、などと話す」と明らかにした。

 ジェプソン氏は、ダイアナ元妃の最大のレガシーは息子たちだと語る。そして「彼らの中に、母譲りの多くものを見ることができる。なかでも、王室と一般の価値観を結び付ける能力には秀でている」と続けた。
【翻訳編集】AFPBB News