ハリルJ最終ラインを固定せよ! 闘莉王が提言「味方の弱点を知らなければ連携は生まれない」

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2010年W杯では中澤と鉄壁コンビ 「試合を多くこなせば欠点や特徴を把握できる」

 日本代表は31日にロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の大一番、ホームでのオーストラリア戦を迎える。

 勝てば来年のW杯出場権を獲得する一戦を前に、元日本代表DF田中マルクス闘莉王(京都サンガF.C.)は、現在の日本代表最終ラインの人選に関して提言をしている。

 日本サッカー界の運命を左右するオーストラリア戦と9月5日の敵地サウジアラビア戦に向けて、バヒド・ハリルホジッチ監督はDFに8人を招集した。そのうちセンターバック枠でサウサンプトンDF吉田麻也、鹿島アントラーズからDF昌子源とDF植田直通、そしてガンバ大阪DF三浦弦太の4人が名を連ねている。

 メンバー発表会見では、元日本代表DF秋田豊氏が吉田と昌子が負傷した際のリスクについて質問し話題になった。2010年の南アフリカW杯で、横浜F・マリノスDF中澤佑二とともに鉄壁の守備を築き、世界と互角以上に渡り合った闘莉王は、現在の日本代表の最終ラインに関して提言を行っている。

「自分もこれまで日本代表に関わらせてもらった。43試合戦ったけれど、後ろは簡単な話ではない。サイドバック、センターバックのラインというのは連携が合えば合うほど、自分がどのポジショニングを取ればいいのか理解できる。何よりも大きいことは、試合を数多くこなせば味方の欠点や特徴を把握できる。弱点を理解できれば、お互いを補うようなプレーやポジショニングを選択できる。それが、本当の意味の連携なんです」

W杯も見据えてDF陣に“阿吽の呼吸”を

 闘莉王と中澤のセンターバックコンビは、「日本代表史上最強」との呼び声も高い。どちらも空中戦で絶大な強さを誇り、南アフリカW杯ベスト16進出の原動力となった。闘莉王はアメリカンフットボールのクォーターバックのように最終ラインから精密なフィードを前線に幾度となく供給。時にはトレードマークの攻撃参加も繰り出していた。

 一方、闘莉王が攻撃参加した時、最終ラインに生まれる隙間は中澤が完璧に埋めた。二人の間には阿吽の呼吸が存在したが、それは一朝一夕に生まれるものではないという。最終ラインの連携は、まずお互いのストロングポイントとウイークポイントを理解してから全てが始まると断言する。

「同じポジションの選手を競争させることは良いことだと思う。しかし、最終ラインに関しては、その並びがコロコロ変わったりすると連携が生まれなくなるし、自分と一緒に戦っている味方の特徴や欠点が分からない。(現代表の最終ラインは)吉田が中心になっていると思うんですけど、そのなかで吉田と誰が組むのか。連係をどう高めるのか。練習でやっているとは思うんですけど、試合を重ねなければなかなか見えてこない部分もある。早くお互いを認識しないといけない」

 これまで吉田は、FC東京DF森重真人と長くセンターバックコンビを組んでいたが、低調なパフォーマンスを理由に森重が6月の代表メンバーから外れ、その後負傷離脱したことで今回も呼ばれていない。そして6月の親善試合シリア戦(1-1)、W杯最終予選のイラク戦(1-1)と2試合連続で昌子がフル出場しており、オーストラリア戦でも吉田のパートナー最有力候補となっている。

 ハリルホジッチ監督は吉田を軸に、誰をパートナーにするのか。W杯最終予選の先を見据えて、百戦錬磨の闘将は最終ラインのレギュラー固定が急務と指摘している。

【了】



フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images