ケニア・ビニール袋全廃の新法がスラム街で問題に(画像は『Kenya CIC 2017年3月29日付「Implications of the plastic bags ban in Kenya」』のスクリーンショット)

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ナイロビを中心に見どころもたくさんで、サファリの世界を満喫できるアフリカ東部の国ケニア。ビニール袋の使用を禁じる法案が可決して今月28日より施行となったことを受け、観光業界はさかんに「罰金刑が極めて高額。ケニアを訪れる方はどうかご注意を」と呼びかけているが、この新法は自国においても解決すべき大きな問題があるようだ。

ケニアではこれから、ビニール袋(英語圏では“プラスティックバッグ”)を手にした者、隠し持っている者は自国民であろうと外国人観光客であろうと容赦なく罰せられることになる。工業用ビニール袋を製造する工場以外の製造、販売、輸入も禁止で、スーパーマーケットなどでは布製エコバッグの販売が急ピッチで進んでいるが、公道での一斉検問では若干の違反者が摘発されているそうだ。

なぜそのような法律が必要となったのか、ケニアの議会は人々が捨てていったビニール袋を誤って食べて陸、海、空の生き物たちが死んでしまうことや、ビニール袋を飲み込んだ魚を食することの人体への影響などを挙げていた。面倒な状況に追い込まれて初めてエコロジー(自然環境保全)の大切さを知った国民も多いのであろう。カメルーン、ギニアビサウ、マリ、タンザニア、ウガンダ、エチオピア、モーリタニア、マラウイなど他のアフリカ諸国では同様の法律がすでに施行されているという。

見つかってしまった場合の罰が実は驚くほど厳しい。日本円にして約210〜420万円の罰金あるいは最大で懲役4年の禁錮刑になるそうだ。そのためボニファス・ムワンギさんら人権活動家らは貧困層に対する配慮が必要であるとし、「罰金に減免措置を」と訴えている。なぜならナイロビのスラム街では簡易トイレとしてビニール袋が多用されてきたとのこと。ムワンギさんは米『ABC News』の取材に「そこではトイレを使用するたびに今後は罰金、罰金といわれてしまう。家族がいればその人数分ですよ。そんな高額とても払えない。スラム街の人々はどうすればいいのですか」と訴えた。

ちなみに日本やアメリカではビニール袋が有料という店が増え、主婦層を中心にエコバッグはかなり浸透しているが、その先を行くのがフランスである。昨年7月1日よりレジ袋そのものが法律で禁止となり、誰もがエコバッグを常に持ち歩かなければならない状況となった。しかしおしゃれな国民性だけあって素敵なエコバッグも続々と登場。好みのものを持ち歩くこともまた一つの楽しみとなっている。

画像は『Kenya CIC 2017年3月29日付「Implications of the plastic bags ban in Kenya」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)