羽生結弦選手の「喘息を理解してほしい」という思い(Shutterstock.com)

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 喘息は苦しくて大変な病気だろうが、それで死ぬことはない......。そう思っている人が多いだろうが、実は「突然死」を招く恐ろしい病気だ。日本での2014年の喘息死亡数は1550人。『喘息予防・管理ガイドライン2015』によれば、重症の患者だけでなく軽症の患者も、喘息で死亡しているという。

 2歳から喘息を患っているフィギュアスケートの羽生結弦選手は、8月27日放送の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)で病気と闘う子どもたちのためにアイスショーを行った。これをきっかけに喘息について正しく理解してほしいという思いを、羽生選手は抱いているのかもしれない。

 この「喘息」、そして「慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)」の怖さを知ってもらいたい。
 
全世界では喘息とCOPDで年間360万人が死亡

 「二大慢性肺疾患」といわれている「喘息」と「COPD」――。喘息は、空気の通り道である気道の炎症が続き、気道が狭くなって呼吸が苦しくなる状態が繰り返し起こる病気である。

 COPDは、「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれてきた病気の総称だ。長期にわたって有害物質を吸い込んだことで、肺に炎症が起こる。こうしてタンが絡んだセキが始まり、階段の上り下りなどで息切れや呼吸困難などが生じてくるのだ。

 全世界では、2015年に「喘息とCOPDで年間360万人が死亡」しているそうだ。喘息による死亡数は40万人、COPDによる死亡数は320万人と推定されている。死亡数はCOPDのほうが多いのだが、患者数はCOPDの1億7450万人に対して喘息では3億5820万人で2倍多い。

 『The Lancet Respiratory Medicine』(2017年8月16日オンライン版)に掲載された研究では、対象とした188カ国のうち、1990〜2015年の調査を検討したものだ。

COPDは44%、喘息は13%、患者数が増加

 その結果、1990年以降でCOPDと喘息の罹患率・死亡率は低下していることが明らかになったが、世界的な人口の増加と高齢化を背景に、COPDの患者数は44%、死亡数は12%増加。喘息は患者数が13%増加したが、死亡数は27%減少した。

 COPDについてはインド、レソト、ネパール、パプアニューギニアだ、喘息についてはアフガニスタン、中央アフリカ共和国、フィジー、キリバス、レソト、パプアニューギニア、スワジランドで罹患率・死亡率が高い。

 上記の国々では、屋内での調理時に木材や石炭などの燃料を用いている家庭が多い。こうした燃料の使用が呼吸器疾患の増加につながっていると指摘されている。

 論文の筆頭著者である米ワシントン大学のTheo Vos教授は「喘息とCOPDは治療法があるにもかかわらず、未診断の患者や誤診されている患者が多く、十分な治療を受けられないことも少なくない。心血管疾患、がん、糖尿病などといった重大な非感染性疾患に比べて、喘息やCOPDは十分に注目されてこなかった経緯がある」と述べている。
受動喫煙で日本人の肺がんリスクは約1.3倍に

 ここに書くまでもないことだが、喘息もCOPDも「喫煙」によって症状が悪化する。

 「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によれば、日本の成人男性の喫煙率は減少し続けているが、諸外国と比べると高い状況にあり、約1400万人が喫煙していると推定されている。また、成人女性の平均喫煙率は9.0%。喫煙率が最も高い年代は40歳代で、13.7%だった。

 タバコのダメージは、喫煙者本人だけが受けるのではない。タバコから出る煙や喫煙者が吐き出した煙を周囲の人が吸い込む「受動喫煙」で、日本人の肺がんリスクは約1.3倍になっていると国立がん研究センターは発表している。

 今年の24時間テレビのテーマは「告白」。羽生選手の「告白」で、喘息やCOPDが注目されて、その認知が進むことを期待したい。
(文=編集部)