教育資金が不足するときは、「奨学金」を利用するのも一つの手です。ただし、奨学金は原則、子ども自身の借金。親子でよく話し合って利用することが大事です。

写真拡大

どうする?教育資金不足

目前に進学が迫っているのに、教育資金の準備が十分にできていない。あるいは、家計が苦しくて学費どころではない……。でも子どもは進学を希望している。そんな時はどうしたらいいのでしょう?

それでも息子や娘が進学を希望したら、あなたはどうしますか?「自分でどうにかしなさい」、そう言って突き放せる親は、日本ではまだまだ少数派かもしれません。「何とかして希望を叶えてあげたい」と考える親がまだ多いのではないでしょうか。一方で、「教育資金が足りなければ教育ローンを借りればいい」という時代でないことは、そろそろ多くの親が気づき始めていることでしょう。

ではどうしたらいいのでしょう?相談業務の中でもまれに受けることがありますが、最近は、解決のステップを次のように5つに分けて考えています。

・本当に必要な進学か考えてみる
・「学費」を抑える方法を考える
・すでに準備してある教育資金を確認
・奨学金の利用を検討
・必要なら教育ローンを検討する

では早速、ステップ1から確認してみましょう。

ステップ1:本当に必要な進学か考えてみる

大学を出るだけで就職できる時代ではなくなっています。むしろ大学で何を学ぶかが大事になっているようです。そもそもやりたいことや目的が明確で、本当に進学を望んでいるのかも確認しましょう。

2016年5月時点で見ると、大学卒業約56万人中「正規の職員等でない者」「一時的な仕事に就いた者」「進学も就職もしていない者」を合算すると約6万人いて、卒業者に占める割合は10.6%。8人に1人が不安定雇用かニートとなっています(文部科学省「学校基本調査」)。

就職先も大企業は狭き門で、就職率が上がったのは中小企業への就職が増えたもの。一方で、ブラック企業も問題になっています。

最近は就職率100%と言われる、医療・看護系の人気が急上昇しているように、場合によっては、専門学校で技能を身につけ、資格を取ったほうが、希望の職種などへの近道になることもあります。大学は就職のためだけに行くところではないという意見もありますが、いずれにしても一度、お子さんとじっくり話し合ってみましょう。

ステップ2:「学費」を抑える方法を考える

息子さん、娘さんの進学の意思が固まっていて、家族でコンセンサスがとれているとします。その上で教育資金不足が深刻な場合は、できるだけ費用(学費・生活費)がかからない方法を検討しましょう。

例えば私立大学より国公立大学の方が学費はぐんと抑えられます。希望の学部が国公立大学にないかどうかなども調べてみましょう。寮やアパートを借りて首都圏の大学に通う予定であった場合でも、学費は大きく抑えられます。

もちろんですが、希望している学部が地元の大学にあれば、寮やアパートを借りる費用が助かります。交通費はかかっても、自宅から通えることは大きな節約です。

ステップ3:すでに準備してある教育資金を確認

進学の意思を確認し、進学先のめども大まかにつけば、あとは資金の手当てをどうするかです。教育用の貯蓄(保険も含む)として準備した分はどれくらいあって、大学在学中に家計から捻出できるのは毎月どれくらいあるかを確かめてみましょう。

ステップ4:奨学金の利用を検討

奨学金と教育ローンがありますが、まずは奨学金から検討しましょう。教育ローンは親が借りるため、金額によっては親の老後への影響が出る可能性もあり、入学金などまとまった資金が必要で奨学金ではまかなえない場合や、あるいは奨学金が利用できない場合などを除いて、最後の手段と位置づけましょう。

奨学金は、原則、子ども自身が借りるもので、親の老後への影響はありません。子ども自身の自覚も促せます。また、返済不要の給付型のタイプもあるので、利用できるならまずはそちらから検討しましょう。

奨学金制度は、日本学生支援機構をはじめ、各自治体や学校、企業、財団その他、様々な機関が設けています。日本はまだ貸与型が多いものの、給付型も増える傾向にあります。貸与型の中にも、無利子と有利子があります。

有利子貸与<無利子貸与<給付型の順に、成績要件などの条件は厳しくなります。大学独自の制度には、成績が優秀な学生の授業料を免除するものなどもあります。

有利な奨学金を利用しようと思ったら、成績が問われます。大学1年で借りるなら高校1年から3年の成績が問われるので、奨学金を借りることが見込まれるなら、コンスタントに一定の成績を上げておくことが大事になるでしょう。

ステップ5:必要なら教育ローンを検討する

奨学金の検討を終えたら、次に検討するのが教育ローンです。教育ローンを利用すべきケースとしては次のようなものが考えられます。

・奨学金が利用できない……所得制限などにひっかかって利用できない場合
・奨学金では不足する……奨学金を最大で利用しても足りない場合
・初年度納入金や授業料が不足……奨学金はまとまった学費を支払うには不十分

こうした場合の最後の手段となるのが教育ローンです。前述のように、教育ローンは親の借金となるため、親自身の老後資金に支障のない範囲にとどめることが大事です。

親の名義で借りるけれども、子が親に返済するという約束にすることもできますが、現実には奨学金とダブルで返済するのはかなりの負担です。どうするのがいいか、親子でじっくり話し合いましょう。

代表的な教育ローンとしては「国の教育ローン」があります。ほかに、民間のローンもあります。

返済のことも考えて借りること!

貸与型の奨学金にしても教育ローンにしても、あくまでも「借金」であることを忘れてはいけません。借金は返済義務があります。子どもが返すのか、親が返すのかは別にして、借りる時には「返す」ことまで考えて利用するのが鉄則です。
(文:豊田 眞弓)