海岸を飛び立つ海鳥の群れ(2016年1月8日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】海鳥の少なくとも1種は、海上を飛行する方向を決めるのに嗅覚を利用しているとする、新たな実験に基づく研究結果が29日、発表された。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、地中海(Mediterranean Sea)のスペイン・メノルカ(Menorca)島に生息する海鳥オニミズナギドリの嗅覚を一時的に奪うと、餌探しに飛び立った後に巣に戻ることが困難になったという。

 嗅覚を利かなくしたオニミズナギドリは、採餌のためにスペイン東部カタルーニャ(Catalonia)地方の海岸まで約200キロを移動したが、帰路では誤った方角へと向かった。

 論文の筆頭執筆者で、英オックスフォード大学(University of Oxford)の博士号取得候補者のオリバー・パジェット(Oliver Padget)氏は、「オニミズナギドリは、不思議なほど直線的だが誤った方角への海上飛行に乗り出した。その様子はまるで自分の最新の位置情報が得られないまま、ただコンパスが示す方角に進んでいるかのようだった」と述べている。

 オックスフォード大動物学部などの生物学者チームは今回の最新実験で、オニミズナギドリ32羽を3つのグループに分けた。

 第1のグループは、鼻孔に硫酸亜鉛を注入して無嗅覚の状態にし、第2のグループには小型の強力な磁石を取り付けた。渡り鳥は進路を見つけるために地球磁場を用いると考えられており、中には1回の渡りで地球を半周する渡り鳥もいる。

 第3の「対照群」グループには、鳥の行動を変化させる可能性のあることは何も行わなかった。

 3つのグループはすべて超小型GPS(全地球測位システム)発信機を装着して追跡した。

 実験の結果、磁石を取り付けたグループは海上移動で混乱に陥ることはなかった。一方、亜鉛を注入したグループは、海上移動での進路を正しい方向に戻し、飛行経路を修正することが最後までできなかった。ただ、最終的に目的地にはたどり着いた。

■においの標識

 嗅覚機能が進路決定に関与していることが今回の研究で分かったが、まだ次のような疑問は残る──オニミズナギドリは何のにおいを嗅いでいるのだろうか。

 パジェット氏は、AFPの取材に「その疑問に対する端的な答えは、(海面近くを飛行する)ミズナギドリが進路決定に利用しているにおいが何なのかは分からないということだ」と語った。

 アホウドリ、ウミツバメ、ミズナギドリなどは、海の食物連鎖の最下層に位置する単細胞生物の植物プランクトンや海藻から放出される有機化合物に敏感であることが、別の研究で示唆されていた。

 だが、海鳥はにおいの元をたどるのではなく、においを道しるべのように利用している可能性があると研究チームは話す。

「生息環境内には場所によって異なる特徴的なにおいの標識があり、これらの標識が、営巣コロニーに戻る特定の方向に関連づけられている可能性がある」とパジェット氏は話した。
【翻訳編集】AFPBB News