青森山田高校での記者会見に臨んだ中村。来春、“和製ロナウド”の新たなチャレンジが始まる。写真提供:青森山田高校サッカー部

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 今春、柏レイソルU-18から青森山田高校に活躍の場を移したFW中村駿太の進路が決まった。彼が選んだのはJ2のモンテディオ山形だ。
 
 高2でU-19アジア選手権に出場するなど、つねに注目を集めてきたストライカー。あの電撃転入から、早6か月が経過した。青森山田のエースとしてプレミアリーグEASTやインターハイ本大会に臨み、チームにもすっかり馴染んだ前線の核が、目標であったプロへの第一歩を踏み出す。
 
「山形は最初に練習の誘いをしてくれて、実際に練習に参加をしてみてもすごく雰囲気が良くて、僕を受け入れてくれた。それに強化部の方々もとても熱心に話をしてくれたし、練習参加の最終日のトレーニングが終わった直後に、『すぐにオファーを出したい』と言ってくれたんです。その後も強化部の方がプレミアやインターハイに足を運んで観に来てくれたり、これからのチームのビジョン、そして僕に対するビジョンも明確に話してくれた。インターハイが始まる時には正直8割方、山形に行く気持ちが固まっていました」
 
 山形への入団を発表したことで、新たな気持ちが芽生えたという。
 
「決めました、と黒田剛監督に伝えて、山形の強化部の方にも伝えてからは、ちょっとホッとしました。プロになるために青森に来たので、まずはそれを果たすことができたし、来年に向けてモチベーションがグッと上がってます。まずはこれまでお世話になったひとたちや、迷惑をかけてしまったひとたちに、プレミアや選手権で成長をした姿を見せて、その先に繋げたい。そう強く思うようになりました」
 
 夢をひとつ叶えたことで、恩返しの気持ちが強くなった。と同時にあらためて、自分が青森に来た意義をもう一度見つめ直すことができたという。
 
「(山形入りを)決断してから、青森に来た当初のことを思い出していました。いまでこそ生活にも慣れて、仲間やスタッフの方々と理解し合えて、心身ともに成長を実感できていますが、当初はやっぱりすごく不安な気持ちが大きかったなと。でも、そこで自分の覚悟、決意がちゃんとしていなかったら、いろんな方向に流されたり、自分にも負けていたと思う。青森山田の仲間の存在、黒田監督、正木(昌宣)コーチをはじめとしたスタッフの期待と指導を受けるなかで、『もっと頑張らないといけない』という想いが日に日に強くなって、余計なことを考えずに、サッカーに真剣に向き合ってこれた。本当に青森に来て良かったなと思っています」
 
 自身で下した一大決心が間違いではなかったことを再確認した中村。“2冠王者”青森山田のエースストライカーとして、チームのために結果を残すことを固く誓う。
 
「インターハイはノーゴールに終わって、3回戦敗退と残念な結果だったけど、まだプレミアと選手権のふたつのチャンスがある。まだ恩返しをする機会はあるので、そこでいま以上に『青森に来て良かった』と思えるように、残りの期間を大事にしたい。お世話になったひと、迷惑をかけたひとに結果をもって恩返しをしたい」
 
 すべては青森山田のために──。有言実行の点取り屋が、残された青森での日々に後悔を残さぬよう、全力かつ貪欲にサッカーに打ち込む。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
 8月30日、モンテディオ山形は、青森山田高校FW中村駿太の来季入団が内定したと発表。中村は同日同校での記者発表会に臨む予定だ。

 以下のコメントをクラブHPに寄せた。

「「この度、青森山田高校から加入することになりました。中村駿太です。サッカーを始めてから最初の目標であったプロサッカー選手になることができてとても嬉しく思います。モンテディオ山形に関わるすべての方々、これまで自分に携わってくれた全ての方々には本当に感謝しています。少しでも早くピッチに立ち、チームの勝利に貢献できるように頑張ります。応援よろしくお願いします!」

◆プロフィール
選手名:中村駿太(なかむら しゅんた) Shunta NAKAMURA 
生年月日:1999年5月10日(18歳)
出身地:千葉県
身長・体重:170cm・66kg
ポジション:FW
利き足:右
現所属:青森山田高等学校3年
所属歴:柏レイソルU-15→柏レイソルU-18→青森山田高校
主な経歴:U-16,U-17,U-18,U-19日本代表
プレーの特徴:多彩なシュートのテクニック、DFラインの裏に抜ける動き出し、クロス時のゴール前でのマークを外す動きなど得点を取るためのプレーに優れる選手。