「相方の綾部がアメリカに行くということで、コンビの仕事がなくなって、時間が空いたということもあるんですけど、それよりも相方がスゴい挑戦をするっていうことで僕も焦るというか『何かせな』みたいな気持ちが強く湧いてきた」。相方・綾部祐二(39)の壮大な行動に刺激を受け、又吉直樹(37)がユニットコント『さよなら、絶景雑技団』を6年ぶりに開催することを決めた。「コントライブは自分に対するごほうび」と話す又吉に、同ライブへの思いやピンとして活動を本格化させてきた4ヶ月あまりに迫った。

■コントメンバーの成長に緊張感 小説とコント作りの共通点は?

 タイトルにある「絶景」は単に景色の美しさではなく、日常の中にある「かけがいのない愛おしくなる瞬間」を指したもの。「人に発表するほどでもないのですが『何かいいな』というのを舞台でやってみたかった。ひとつのコントの中に、この瞬間っていう絶景ポイントを出せたら面白いんじゃないかっていうことで、それを舞台で表現するから『絶景雑技団』にしました。絶景雑技団っていうのは、僕の中で全国各地を回っていく旅一座のイメージだったんです。それで、公演を終えて去っていくメンバーたちに子どもたちが『さよなら、絶景雑技団』って言う感じを想像していました」。

 2009年、11年に続く3度目の公演で、メンバーは又吉のほかにグランジ・五明拓弥、しずる、ライス、サルゴリラ、囲碁将棋・根建太一、ゆったり感・中村英将、パンサー・向井慧、井下好井・好井まさお、スパイク・小川暖奈といったこれまでのライブとほぼ同じ顔ぶれがズラリ。この6年間でそれぞれが成長している。「ライスも『キングオブコント』で優勝して、しずるも何回も出ていて、好井も『すべらない話』で活躍したり、みんながみんな評価をされている後輩たちなので、ちゃんとしたものを持っていかなアカンと思っています。もしかしたら、僕が一番緊張しているかも。6年経っているので、その分パワーアップしておきたいですね」。

 もちろん、又吉にも大きな変化があった。小説『火花』が第153回芥川賞を受賞し、次作『劇場』も今年出版。作家としての活躍も一躍注目されることとなったが、小説とコント作りに“共通点”があるという。「人と人の関係性を描くっていうことが近いかなと。すべてのお笑いと文学が近いかどうかはわからないですけど、僕が作るコントと小説は人と人の関係性を描くっていうところと、その時にどういう風に思っているのかっていう感情、コントでは飛ばされがちな表明されない感覚も拾っていきたいなと思っています」。そして、もうひとつ似ている部分があると教えてくれた。

 「お笑いで伝統的にあるボケとツッコミがあるとしたら、そのツッコむ方もまともじゃないというか、アホとアホが関係を作っていくのが、それは小説の『火花』とか『劇場』とかにもつながっているのかなと。例えば『火花』の神谷っていう先輩のコンビ名は『あほんだら』という名前で、『劇場』の永田っていう主人公の劇団名『おろか』っていう名前。やっぱり、アホやったり、ちょっとまっとうじゃないというか、完璧には程遠いっていうもの、人たちが生きていく中で、何してんねんっていう部分は共通していると思います」。

■綾部の不在で「ふわふわしています」 朗読会の挑戦で「ひとりでも舞台に…」

 綾部のアメリカ挑戦に伴い、今年4月から互いにピンでの活動が本格化。「こんなに長い期間、バラバラで活動したことがない」という又吉に、自身の心境の変化を聞いてみた。「基本的には仕事は来たものはやるんですけど、2つきていてどっちかしかできないっていう時は自分じゃわからないんですよ。ライブやりたい、カレー食べたいとか欲望の部分は自分でもわかるんですけど、仕事のことになると自分が何をやりたいのかよくわからなくて、僕の仕事も綾部が決めてくれていた。それがなくなったので『次、何したらええんやろ』ってふわふわしています」。それでも「今、何をすべきか」はしっかりと見えている。

 「ライブを作るか、本を作るか、テレビに呼んで頂いた時は全力で楽しむっていう3つしか基本的にはできないから、そこを全力でやる。たとえ収入が減っていっても、それが自分の実力やから、仕方ないですから。とは言っても、相方の足を引っ張りたくないので、アメリカで挑戦したいのだったら、気持ちよく送り出してやりたいなと思いました。そこは、お互いそうなんかなって思います」。

 ユニットコントの2日目には『やぁ』朗読会も開催。自身にとっても大きなチャレンジであると言葉に力を込める。「最初は3人で朗読をやるんですが、いずれは小さい小屋とかで、ひとりで自分の作ってきたものを読んで、お客さんに楽しんでもらうっていう、それもちゃんと形にできたらなって思います」。構想もしっかりと練ってある。「朗読用のテキストが最低で30本くらいであれば、お客さんの雰囲気見ながら『きょうはどの組み合わせでいこうかな』ってできるようになるし、それが100本、200本になればもっと楽しくなる。だから、45歳くらいまでには、朗読用のテキストを100本くらいストックしておきたいです」。目標は、朗読界の稲川淳二になることだ。

 「稲川淳二さんみたいに、僕も『又吉って、本を朗読する人や』みたいになれたら(笑)。怪談話だけでお客さんを楽しませるってカッコいいなと思うので。綾部がアメリカでチャレンジしている間、僕はひとりで舞台に立たないのかっていう。ユニットコントとかで作ったものを形にするのも大事ですけど、ひとりでも舞台に立てるようになりたいっていう気持ちが強いですね」。ユニットコント、朗読会の開催とピース・又吉直樹の挑戦はこれからが本番だ。

■『さよなら、絶景雑技団』
日程:9月9日、10日(※10日は『やぁ』朗読会も開催)
会場:よみうりホール
出演:ピース・又吉直樹、グランジ・五明拓弥、しずる、ライス、サルゴリラ、囲碁将棋・根建太一、ゆったり感・中村英将、パンサー・向井慧、井下好井・好井まさお、スパイク・小川暖奈

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