「わざと引いて…」豪州攻略へ 長友は頭脳的な“イタリアのお家芸”をイメージ 

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違和感を訴えた左ハムストリングスは異常なし 前掛かりになる危険性を説く

 負傷の状態が懸念された日本代表DF長友佑都(インテル)は、29日に行われた日本代表のトレーニングを終えると「コンディションは問題ないです。大丈夫」と不安説を一蹴。

 ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選、決戦のオーストラリア戦を31日に控え、“頭脳的”にオーストラリアを攻略する考えを示した。

 長友は現地時間26日のローマ戦でスタメン出場したが、後半11分に左ハムストリングスの違和感を覚えてベンチに交代を要求。そのまま代表に合流し、医師の診断でも「異常なし」という結果を得ていたが、本人からも状態に太鼓判が押された。

 そして、決戦に向けて長友は過去に何度も対戦してきたオーストラリアの変化を感じつつも、頭脳的な戦いをイメージしていることが窺われる。特に、勝利すればW杯本大会出場が決まる反面、引き分け以下に終わればさらなるプレッシャーに晒される敵地サウジアラビア戦が待つという状況にも、前掛かりになることの危険性を説いた。

「前からアグレッシブにという気持ちは持っているけど、その気持ちが先行して前と後ろにギャップができるのが一番試合を難しく混乱させる。バタバタする時間はあるにしても、経験のある選手が声を出してまとめないといけない」

狙うは電光石火の…

 オーストラリアは過去のイメージと違ったチームになってきている。長友もまた「オーストラリアはフィジカルと高さと言われていますけど、彼らはすごくつないで蹴ってこない」と、その戦術を把握している。その相手の狙いを理解したうえで、真っ向勝負とは違った形でゴールを陥れるイメージを語った。

「前から行くだけでなく、わざと引いて相手を来させてショートカウンターもある。そういう自分たちの経験も、頭を使いながらやらないと。フィジカル勝負では勝てない」

 勝利のためのゴールを欲するからこそ、あえて相手を引きずり込んで電光石火のカウンターを狙う。まさに長友が6年以上にわたってプレーしているイタリアのお家芸だ。オーストラリアが自分たちの技術に自信をもって挑んでくるからこそ、それを逆手に取る戦略もイメージしている。

 日本代表95試合出場の経験を持つ長友は、W杯予選も3大会目。オーストラリアとも5度の対戦経験があり、2011年アジアカップでFW李忠成の決勝ゴールをアシストしたクロスは日本サッカー史に燦然と輝く。その経験と、イタリアで培ったしたたかさは、長友が持つ大きな武器だ。コンディションの不安を払拭したダイナモの頭の中には、オーストラリアを撃破するシナリオが出来上がっている。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images