酷暑予想が外れて売れたのはこちら

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「猛暑」と予想されていたこの夏は、一転、冷夏となり長雨にも見舞われた。アイスやビールの消費が低迷する一方、おでんやチョコレート、日本酒が売れるなど、意外な商品が恩恵を受けている。冷夏を追い風とするのは、食品だけではない。

 夏が涼しければエアコンの売れ行きも不調となる。東北地方を中心に展開する家電量販大手のデンコードーによれば、8月のエアコン売れ行きは何と前年比7割減だという。一方でニーズが高まるのは「除湿機」だ。

「冷夏と長雨のため、除湿機が例年になく売れています」(ケーズデンキ経営企画室)

 大手家電量販店のベテランスタッフが言う。

「除湿機の売り上げは前年比3割増です。雨のため洗濯物を屋外に干せず、屋内で部屋干しするために除湿器を購入するケースが多い。同じ理由で布団乾燥機も人気です」

 部屋干し用の洗剤も好調だ。

「昨年8月に比べて、部屋干し用洗剤『トップ ハイジア』は10%増の売り上げです」(ライオン・コーポレートコミュニケーションセンター)

 屋外プールの代表格「としまえん」(東京都練馬区)は入場者が激減した。

「7月1日のオープンから8月23日までで、来場者が前年より4万2000人少なく、約2割減です。集客促進のために8月下旬から入園料を大人、子供とも1000円値下げしました」(事業企画部)

 同じく「水」を扱うレジャー施設でも、水族館は絶好調だ。連日大賑わいを見せるアクアパーク品川(東京都港区)の高橋直人館長がこう語る。

「各種イベントに加えて冷夏の後押しにより、お盆時期(8月11日から16日の6日間)の入場者は昨年より10%増えました。8月全体でも、猛暑だった昨年を上回ることは確実です。

 不安定な天気で子供をプールやキャンプに連れていけなかった家族が“魚の生態”を夏休みの自由課題のテーマに選んでくれたという声をいただいています」

 7月上旬にリニューアルオープンした東京・池袋のサンシャイン水族館も8月中旬まで前年比180%増で、連日整理券を発行する賑わいだった。

 科学館や博物館にも子供連れが殺到している。昆虫展などを開催した千葉県の千葉市科学館は8月の来場者数が5万5000人を超え、前年比約3割増を記録した。

 冷夏や長雨は生態系にも影響する。

「殺虫剤市場は天候の影響を被りやすい。夏場に雨が多いと蚊が増えると思われがちだが、強い降雨が多いとボウフラが流されて蚊の発生が激減します。早い時期から台風が上陸しゲリラ豪雨も多かった今年はハエ・蚊用の殺虫剤が苦戦しています」(アース製薬広報室)

 蚊が少ない一方、「害獣」は増えている。

「ネズミやイタチなどの害獣は夏場に姿を消すのが普通ですが、今年は冷夏のため夏でも活動的で、例年より駆除依頼が多い」(害虫・害獣駆除を行なうAAAホームサービス広報担当)

“景気の体感温度”は温度計では測れないのである。

※週刊ポスト2017年9月8日号