売上高7億円から54億円に伸ばした社長の経営戦術は「整頓」にあった?

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 めまぐるしく世の中が変わりつつある昨今、「ネット通販にはかなわない」「大手じゃないから」「良い人材が確保できない」など、環境のせいにして会社や自分の成長を自ら止めてはいないだろうか。周りのせいにしても儲かることはない。だったらまずは、本書から真似できることを1個でも見つけてみよう。

『小さな会社の儲かる整頓』(小山昇/日経BP社)は、「儲かる会社」のことを「モノの置き場所を、定期的に変えていける会社」と表現している。すぐに移り変わっていくこの世の中だからこそ、臨機応変にモノの置き場所を変えていくことが大事だと著者は言っている。

 また、すでに他の会社で結果が出ていることをすぐに取り入れられるかどうかが成長できる鍵の1つだとも言っている。

 本書の著者は、株式会社武蔵野の代表取締役社長。「環境整備で業界一になる!」と宣言し、整理整頓を軸とした人材育成を勤め上げた結果、就任時に7億円だった売上高を2016年5月期には、54億円に伸ばすという結果を出した。

「環境整備」とは、「整理」「整頓」「清潔」「礼儀」「規律」の5つ。「儲かる現場を作る」のに必要な環境整備は特に「整理」「整頓」。最も大事なものは「整頓」だという。

 なぜ「整頓」が一番大事なのだろうか。整頓とは、モノを使いやすいようにモノの置き場所を定め、置き方を工夫すること。これを経営に置き換えると「戦術」になる。

 では、実際に「整頓する」って、どうやったらいいの?

 著者の会社の社員が自発的に見つけたという「整理術」を1つご紹介しよう。

「脚立は左から大きい順に並べましょう」という張り紙ときちんと左から大きい順に並んでいる脚立。ちなみに左側は壁。この様子に著者はとても感動したという。なぜかわかるだろうか。理由は、「きちんと使う頻度の高い順に並べてあるから」。背の低い脚立の方が、使う頻度は高い。よく使うのに奥にしまいこんでいたら、いちいち前に置いてあるものをどかしてから、出さないとならない。そんな無駄で面倒なことはない。よく使うものほど、手前に置く。手に取りやすい場所に置く。

 お客様が求めているものを感じ取り、その商品をすぐ目につく位置に置き換える。欲しい商品が奥の方に隠れていたら、お客様はよりわかりやすく欲しいものが手に入る、他のお店に行ってしまうだろう。

「我が社は整理整頓を徹底している」と著者は言う。「徹底する」とは「他人が見たら異常と思う結果にすること」と定義しているという。本書は、株式会社武蔵野の社内のカラー写真がたくさん載っている。

 例えば、文房具の整頓は、ポリエチレンシートを文房具の形にくりぬいて必ず元の場所に戻すようにしたり、文房具にマグネットシートを貼り、文房具の原寸をカラーコピーした紙をホワイトボードに貼って使用後はペタリと貼って戻したり、収納ポケットを壁に貼り付け、文房具を放り込む感覚で戻したり、写真を見ればどんな会社でも真似することができそうだ。

 本書は、「整頓」の仕方以外にも「整理」「清潔」「礼儀」「規律」をどのように徹底しているかが、たくさんの写真でわかりやすく載っている。

「儲けを出したい!」と思ったら、まずは儲かっている会社のやり方を真似してみる。何かが大きく変わるチャンスがそこにあるかもしれない。

文=大石百合奈