2017-0829
外務省は2017年5月2日付で同省公式サイト内において、アメリカ合衆国での対日世論調査の結果を発表した。その内容によれば調査対象母集団では、一般人・有識者共に約8割人が「在日米軍は、アメリカ自身の安全保障にとっても重要である」と認識していることが分かった。一般人ではこの数年で、重要性を覚えない人が増加する傾向にあったが、直近年では大幅に回復している(【発表リリース:米国における対日世論調査】)。
調査概要に関しては今調査に関する先行記事にあたる【アメリカ合衆国の日本への一般人信頼度73%・有識者は83%に(最新)】における記述を参考のこと。

【在日米軍司令部、日米同盟50周年を記念したオリジナル漫画第4部を公開】などでも解説しているが、1960年に日本とアメリカ合衆国の間に日米安全保障条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約、日米安保)が締結されてから50年余りが経過している。日本に駐在している各米軍は、この条約を元に各種行動を行っており、有事などの際にはしかるべくアクションを取る体制を整えている(東日本大地震・震災時の各種活動はすでにご承知の通り)。

また先行記事にある通り、日米安保が米国自身の安全保障にとって重要だと考えている人も8割強という結果が出ている。


↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)(再録)

それでは在日米軍(日本国内に駐留するアメリカ合衆国軍、United States Forces Japan、USFJ)の存在は、米国自身の安全保障にとって重要だと米国の人達は考えているのだろうか。重要派2つ「極めて重要」「ある程度重要」、非重要派2つ「あまり重要でない」「まったく重要でない」、そして「分からない」の計5つの選択肢から選んでもらった結果が次のグラフ。重要派がほぼ8割で、非重要派は2割となった。

↑ 在日米軍は、米国自身の安全保障にとって重要か(一般人)
↑ 在日米軍は、米国自身の安全保障にとって重要か(一般人)

↑ 在日米軍は、米国自身の安全保障にとって重要か(有識者)
↑ 在日米軍は、米国自身の安全保障にとって重要か(有識者)

2013年までは重要派内では過半数が「極めて重要」なのに対し、非重要派では「全く重要でない」は1/3程度でしかなく、概して強い反発は少数派との傾向にあった。ところが2014年においては、一般人・有識者共に「極めて重要」が重要派の半数を割り、さらに一般人では非重要派が増加を続けるだけでなく「まったく重要でない」との意見が非重要派の半数に近づく勢いを示している。

直近年ではこの2014年とはほぼ真逆の動きが生じている。一般人では「極めて重要」が重要派の過半数を再び有するようになり、非重要派でも「全く重要でない」は3%ポイント減る形となった。有識者でも「あまり重要でない」こそ5%ポイントと大きく増えたものの、重要派の「極めて重要」が14%ポイントも増加し、重要派の過半数となった。年単位でここまで大きな変化が生じるのは考えにくく、2014年の結果がイレギュラーだと見た方が道理は通る。

今件設問は2012年に初めて登場したもので、経年推移は4年分でしかない。しかも先行記事【アメリカ合衆国から見た一般の日米協力・相互理解関係の推移をグラフ化してみる(最新)】で解説の通り、2013年以降の調査は2012年までとは多種多様な点で調査条件が異なるため、一概に単純比較を行うのはリスクが高い。少なくとももう数年は同様の調査様式における動向を見極める必要がある。一方で他調査でも垣間見られる日本に対する無関心派の増加の傾向にも注意を払うべきだろう。少なくともアメリカ合衆国側からも在日米軍・日米安保は重要視されているとの認識では間違いはないのだが。

さらにいえば今件は2015年分の結果。昨今では米中関係の悪化に伴う米国の軍事外交スタンスに変化が生じており、そして大統領が変わったことに伴う政策性向の違いは決して小さくない。それらの動きに一般人や有識者にどのような心境作用が生じているかを知るのには、あと2年は待たねばなるまい。