タイの首都バンコクにある裁判所で、報道陣の質問に耳を傾けるインラック・シナワット前首相(2016年8月5日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】タイの前首相で、職務怠慢の罪に問われた裁判の判決公判直前に国外逃亡したインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)氏について、同国のチャルムチャイ・シティサット(Chalermchai Sitthisad)陸軍司令官は29日、インラック氏が逃亡前に携帯電話を手放し、通常使用していた自動車の利用をやめていたことを明らかにした。

 軍によって2014年に首相の地位を追われたインラック氏は25日、予定されていた判決公判に出廷せず国外へ逃亡。有罪となれば、最長10年の禁錮刑と、生涯にわたって政治活動を禁止する判決が言い渡される可能性があった。

 だが、厳重な監視下にあったはずのインラック氏が逃亡した事態を受けて、軍を支持する保守派の一部から批判の声が上がっていた。

 これに対しチャルムチャイ司令官は、記者会見で反論を展開。通信分野および人的な監視を行っていたことを認めつつ、「今になって、インラック氏がすべての携帯電話を捨て、車を変えていたことが分かった。従来の手法で同氏を追跡するのは困難だった」と述べた。

 ただ同司令官は、首都バンコク(Bangkok)にあるインラック氏の自宅前で取っていた警戒措置を最近になって解いていたとし、「インラック氏の私人としての権利を侵害し、同氏を脅迫しているという国民からの指摘を受けて部隊を撤収させた」と釈明した。インラック氏は退陣後、軍の情報機関によって常時追跡されているとして繰り返し苦情を述べていた。

 地元メディアは、インラック氏がどうやって逃亡したかについて臆測をたくましくしているが、その大半は出廷予定日の数日前に、陸路または海路でカンボジアに行き、その後シンガポールへ渡ったというものだ。

 一方で軍事政権のある情報筋はAFPに対し、インラック氏は兄のタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相が活動拠点としているアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)に逃亡したとみられると述べた。
【翻訳編集】AFPBB News