聴き手を飽きさせない工夫がこらされた力作 / 『Cozy Tapes Vol. 2: Too Cozy』エイサップ・モブ(Album Review)

写真拡大

 米ニューヨークのヒップホップ集団、エイサップ・モブ(A$AP Mob)が、新作『Cozy Tapes, Vol. 2: Too Cozy』を2017年8月25日にリリースした。

 本作は、2016年10月に発売された、彼らのデビュー・アルバム『Cozy Tapes, Vol. 1: Friends』から、1年経たずしてリリースされた通算2作目のスタジオ・アルバム。デビュー作は、米ビルボード・アルバム・チャートで最高13位、R&B/ラップ両チャートでは、最高4位をマークするスマッシュ・ヒットを記録した。

 今月8月4日には、エイサップ・モブのメンバーである、エイサップ・トゥエルヴィのソロ・デビューアルバム『12』が、本作の発売1週間前(18日)には、エイサップ・ファーグのミックステープ『スティル・ストライビング』が続けてリリースされ、話題を呼んだ。おそらく、エイサップ・モブのアルバム・プロモーションとして、彼らのアルバムも今月まとめて発売されたのだろう。

 本作からは、5月15日に先行シングル「RAF」がリリースされた。この曲は、主要メンバーであるエイサップ・ロッキーを中心に、米アトランタ出身のラッパー、プレイボーイ・カーティや、ヒップホップ・トリオ、ミーゴズのクエヴォ、彼らと一緒に「バッド・アンド・ブージー」を大ヒットに導いたリル・ウージー・ヴァートといった、今をトキメく人気ラッパーたちが参加している。シングル曲だけはあり、アルバム中でも一番耳に残る、完成度の高いナンバーだ。

 ウィル・スミスの実息・ジェイデン・スミスが参加した「Perry Aye」や、エイサップ・アントやエイサップ・ナストなどがクレジットされている「Walk On Water」は、彼らの真骨頂である東海岸直球のナンバー。90年代っぽさも感じられる。

 こういったクールで重たいサウンドが続くのかと思いきや、グッチ・メインが参加した、不気味なエレクトロ音漂う「Please Shut Up」や、テンポを落とした「FYBR」、「Coziest」など、今風のトラップ・サウンドを取り入れたりと、聴き手を飽きさせない工夫がされている。超アゲアゲな「Blowin' Minds」や、スクールボーイ・Qが参加した、スピード感ある「Bahamas」など、フロア向きの曲もある。お洒落なジャジー・ヒップホップ調の「Frat Rules」や、コード進行やメロディを無視した「What Happens」も面白い。1曲1曲が3分弱と短く、所々にインタールードを挟んでいることで、サウンドの重たさを緩和させている。

 プロデュースは、ミーゴズやヤング・サグなどを手掛けるダン・ディール、ヒット曲にこの人アリ…お馴染みのフランク・デュークス、米カルフォルニア出身の音楽プロデューサー、 ヒットボーイ、本作にも参加している、フランク・オーシャンのプロデュースで知名度を高めたマイケル・ウザウウル、ドレイクやフューチャーなどの人気ラッパーを手掛けるサウスサイド等が担当している。


Text:本家一成

◎リリース情報
『Cozy Tapes Vol. 2: Too Cozy』
エイサップ・モブ
2017/8/25 RELEASE